流毒湯(剤型:煎じ薬)

品名(効能・効果)
流毒湯
乳房、顔面、四肢の腫物

処方(松鶴堂加減)
等帰 烏薬 川きゅう 枳穀 桔梗 芍薬 檳榔子 百し 桂皮 紫蘇葉 厚朴 人参 防風 黄耆 甘草 木香
大棗

原典(効能・効果)
十六味流気飲(原典:万病回春)

「無名の悪瘡、癰疸、或は乳岩を治す。按ずるに此方よく名もなき腫毒を消す。諸気鬱滞し腫核を生じ、瘡瘍を成すもの、之を主る。」(医方口訣集)
(漢方後世要方解説より)

処方解説
・枳穀・蘇葉・檳榔子・烏薬・木香は、いずれも気の滞りを疎通・発散して気のめぐりをよくします。
・防風は、皮膚の新陳代謝促進作用があります。
・当帰・川きゅう・芍薬は、血を補い、血行を改善します。
・黄耆・人参は、虚証に対して気を補います。
・桂皮は、温性で、虚を補い、血液循環を促進します。
・大棗は、滋養強壮し、胃腸機能を整え、他の薬性を緩和します。
・甘草は、構成生薬を調和し作用を強めます。

使用目標
 気がうっ積して、過労或いはストレスの重なりがあって抑うつ気味の人の次のような症状。
 ・乳房にしこりがあったり、腫れて痛むもの。(乳腺症、乳腺繊維腫など。)
 ・頸部などにしこり、腫れがあるもの。(甲状腺腫、頸部リンパ腺腫など。)
 ・その他の化膿性腫瘍。

松鶴堂加減について
 流毒湯は、十六味流気飲から桔梗、白し、厚朴を去り、大棗を加えたものです。
 十六味流気飲は、上焦の気の鬱滞によって起こった腫塊を治すというもので、そのため枳穀・蘇葉・檳榔子・烏薬・木香と、気のめぐりを促進する生薬が多く配合されています。
 本剤で、排膿作用のある桔梗、白しを除いてあるのは、腫瘍の改善を内側からの吸収排泄などによって、改善しようとするためです。
 大棗を加えることで虚証タイプに対応しています。

一口メモ
 病状・病名によっては、病医院の受診、主治医の了解を得られることをおすすめいたします。

使用上の注意
 添付文書に記載の「使用上の注意」を併せて必ずご参照ください。

参考文献
 1)漢方方意ノート 千葉古方研究会 丸善
 2)漢方後世要方解説 矢数道明 医道の日本社
 3)漢方処方解説 矢数道明 創元社
 4)漢方治療三十年 大塚敬節 創元社