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アトピー性皮膚炎

大人はストレスが原因になることも
アトピー性皮膚炎は、かゆみが強く、皮膚がカサカサしたり、発疹ができたところがザラザラして厚くなる、アレルギー性の皮膚炎です。
 原因は、体質が影響しているといわれますが、なぜ症状が出るのかはわかっていません。子どものころから続いている人や、大人になってはじめてなる人もいます。
 大人になってからなる場合、強いストレスがかかって発症する人もいます。そうしたケースの人が、仕事や生活の仕方を調整して治療を続けてら良くなったということがあります。
 ですから、アトピー性皮膚炎の治療では、原因になっているアレルゲンを取り除くことも大切ですが、同時に、生活を見直して、疲労やストレスなどを溜めないことも大切です。

ステロイド薬を怖がらないで
 治療には、必要に応じてステロイド薬を使います。一時期、副作用が騒がれたため、ステロイド薬を怖がる人もいますが、決して怖い薬ではありません。副作用の多くのケースは間違った使い方によるもので、適切に使えば効果が得られます。治らないからと治療をあせって、民間療法などをあれこれ試すよりも、落ち着いて医師の指示に従って治療を受けたほうがよくなるケースが多くあります。

メイクは軽めに、がおすすめ
 日常生活では「清潔」と「保湿」が大切。からだを洗うときは、石けんを泡立て、手で優しく洗います。シャンプーやリンスが残ってかぶれているケースもあるので、十分にすすぎます。入浴後は保湿性の高いローションなどを塗り、医師の指示どおりに患部にステロイド薬等を塗ります。かゆみがひどいときは皮膚科医に相談しましょう。
 マイクは外出時にはして、在宅時はしないなど工夫しましょう。メイクをすると、患部をいじらないなどのよさがあります。香料入りの化粧品は避け、皮膚に負担がかからない程度に、軽めにします。

ステロイド薬を悪玉にすることで1個何万円もする石けんを売ったり、温泉療法をすすめたりするアトピービジネスには、注意しましょう。

ドライスキン・オイリースキン

ドライやオイリーってどんな状態?
ドライスキンは、皮膚の角質層の水分が減ってしまった状態で、オイリースキンは、毛穴から分泌される脂が多い状態です。
 ドライになりやすいのは、唇のまわり、ほお、目のまわり、すね、太ももの前など。女性は40歳を過ぎると水分と皮脂が減るので、年齢的な理由でドライになることもあります。
 オイリーになりやすいのは、顔のTゾーン、小花の横、耳のまわり、耳の中、頭皮全体、Vネックの部分、背中などで、にきびができやすい場所とほぼ重なっています。弾性ホルモンが過剰の人は、いくら洗っても皮脂が多く、テカテカしています。

顔にミックススキンが多いわけ
顔の場合、目のまわりは皮膚が薄く、毛穴が開いていないため乾きがちです。一方、鼻の頭は毛穴が開いているため、オイリーニなりがちです。
 これは皮脂腺の分布がそうなっているからで、顔は、ドライとオイリーのミックススキンになることが多いのです。

ドライ、オイリーそれぞれのケアを
ドライスキンの人は、洗い方に注意しましょう。汚れはゴシゴシこすって落とすのではなく、石けんの成分が落としてくれると考えて、泡立ててやさしく洗います。
 入浴剤を使うのも、保湿効果があります。基礎化粧品は、夏はさっぱり系のローションを、冬は敏感肌用、乾燥肌用を使うなど、季節によってかえましょう。乾きやすいところには、保湿性の高いクリームを使うといいでしょう。
 冬季は皮膚が乾燥してかゆくなりますが、かいてしまうと、皮脂欠乏性湿疹になることもあります。この湿疹は従来、老人に多かったのですが、最近は20代前半からでも見られるので注意しましょう。
 ふとんに入るとかゆいなどというのは、ドライスキンが始まっているのかもしれません。入浴後すぐに保湿剤を塗りましょう。
 オイリーな人は1日2回くらい洗顔をします。基礎化粧品はローション程度にします。乳液やクリームをつけすぎるとニキビになりやすいので、気をつけて。

水虫(白癬)
3タイプの水虫がある
白癬菌(皮膚糸状菌)というカビ(真菌)に感染して起こります。冬にも起こり、湿ったままの状態でいるとなりやすいため、最近はブーツなどの影響で感染する女性も増えています。指の間が赤くただれてかゆい「趾間びらん型」、小さい水疱がたくさんできて、かゆみが強い「小水泡型」皮膚が硬く厚くなり、ガサガサになってひび割れが起こる「角化型」の3タイプがあります。足だけでなく、爪、手、からだにもできます。爪や手の水虫は、足から感染するのがほとんどです。からだの水虫(ぜにたむし)は、ペットからうつることもあります。
 かゆみがないタイプもあり、ほおっておくとどんどん進行します。水虫からばい菌が入るとリンパ管炎を起こし、入院するケースもあります。

市販薬を使わず早めに皮膚科へ
治療には抗真菌外用薬を使います。市販の薬を使って悪化するケースが少なくないので、早めに皮膚科を受診しましょう。 
 かゆみがなくなったからと薬を勝手にやめると再発するので、根気よく治療を続けることが大切です。足の爪の水虫の場合、状態によっては抗真菌内服薬を使うことがあります。
 予防も治療も、毎日足をていねいに洗うことが大切です。洗った後、湿ったままにしないこと。靴の中も湿りますから、同じ靴を毎日はかず、はいている時間も、できるだけ短くしましょう。
 足ふきタオルは家族と必ず別に。水泡をつぶしたり、皮をむくのは禁物です。

タコ
角質の一部が厚く硬くなったもの
皮膚の角質が、長期間こすれたり圧迫されて、一部が厚く、硬くなって盛り上がったのが「タコ」です。足の裏や足の指などに多く見られます。
 痛みがなければ、そのまま放置していてもかまいません。気になれば、削ることもあります。サリチル酸入りの絆創膏を貼ると、角質がやわらかくなって削りやすくなりますが、やりすぎると痛むことがあります。
 タコをつくらないためには、自分の足にぴったりフィットして、長時間歩いても疲れない靴を選びましょう。
 つま先の細い靴やハイヒールは、タコやうおのめ外反母趾の原因になりやすいので注意が必要です。

うおの目
角質が盛り上がり、中央に芯がある
タコと同じように、皮膚の角質が長時間圧迫を受けるなどして、部分的に厚く、硬くなったものですが、魚の目は厚くなった皮膚の中央に、硬い芯があるのが、タコと違う点です。
 芯が魚の目に似ているので「魚の目」といい、また鶏の目にも似ていることから、医学的には、「鶏眼」ともいいます。
 足の裏や足の指の間に多くでき、芯が皮膚の真皮にくさび状に突き刺さるので、歩いたり押したりすると画鋲を踏んだように痛みます。原因の多くは、合わない靴をはくことです。
 治療では、カミソリや針、ハサミなどで、芯を削ってくりぬきます。ただし、うおの目と思っていたら、ウイルス性のイボだったということもあるので、皮膚科で削ってもらったほうが安心です。
 予防には、うおの目防止用のパットがあります。それを当てるとクッションになり、半年くらいでできなくなる人もいます。また、長い間、同じ靴を履き続けないことも予防策のひとつです。


粉瘤・ガングリオン
粉瘤は皮膚の袋の中に垢や脂がたまる
粉瘤は表皮が真皮内にめり込んだ形の袋の中に、垢や脂がたまったものです。皮膚のいたるところにできます。なぜできるかはわかっていませんが、体質的にできやすい人がいるようです。予防法はありません。
 中身は白い粥状で悪臭があります。ふだんは自覚症状はありませんが、細菌感染すると赤く腫れ、痛みを伴います。徐々に大きくなるので、小さいうちに手術で取ります。腫れてしまった場合は切開して中身をだすことが先決で、根治手術は後になります。

ガングリオンは良性の腫瘤
ガングリオンは関節を包む組織(関節包)などが変形して袋状になり、そこにゼリー状の成分がたまる良性の腫瘤です。原因はわかっていません。
 よくできるのは手首の甲側で、ふつう痛みはありませんが、神経が圧迫されると痛むことがあります。
 治療法には圧して袋をつぶす方法などがありますが、再発も多いので、整形外科に相談しましょう。


イボ
ウイルス性の皮膚の盛り上がり
 皮膚が盛り上がったものを総称してイボといいますが、何種類もあります。なかでもヒト乳頭腫ウイルスに感染してできるイボは、自分の中でも、他人にもうつることがあります。
 イボは全身にできますが、手の指や足の裏、爪のまわりにできる「尋常性ゆうぜい」、顔などに多発する「青年性偏平ゆうぜい」、外陰部にできる「コンジローマ」などがあります。
 ふつう痛みやかゆみはありません。治療にはサリチル酸を使ったり、液体窒素でイボを凍らせて除去する方法があります。こうした治療は、取れるまで何回かくり返す必要があるので、根気よく通院することが大切です。

汗かき・体臭
汗かきはエクリン汗腺の働きが活発
 からだには、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類の汗腺があります。エクリン汗腺は全身に数百万あるといわれ、汗を出して体温の調節をする役目をしています。汗かきの人は、からだの代謝がよく、エクリン汗腺が活発に働いていると考えられます。
 女性より男性のほうが汗かきなのは、男性ホルモンにエクリン汗腺の機能を高め、発汗を促す作用があるためです。
 女性が月経前や更年期に汗をかきやすくなるのは、女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経に影響を与えるからです。
 太った人が汗かきなのは、皮下脂肪が過剰な保温効果をもたらしているためと考えられます。


急に大汗をかき始めたら要注意
 汗は体温調節という大事な役目をになっていますから、かかないと困りますが、汗でべたつくのは不快なものです。こまめにシャワーを浴びる、吸湿性のいい下着を着けてこまめにとりかえる、汗取りパットをわきの下につけるなど、対応策を考えましょう。
 ただし、急に大汗をかくようになった場合は、甲状腺機能亢進症や自律神経失調症、糖尿病などの病気も考えられます。
 動悸がしたり、頻脈や頭痛、眠れない、やせてきたなど、汗をかくことに他の症状を伴うようなときは、内科を受診してください。

いろいろなにおいを体臭と感じる
 体臭は定義が難しいのですが、文字どおり「体のにおい」とすると、日本人は体臭が弱い人種です。しかし日常的には、汗や脂っぽい頭のにおい、口臭などが混ざって体臭を感じ、日本人はこうしたにおいに敏感です。
 特に若い人たちは清潔志向が強く、自分の体臭を気にする人が多いようです。

人より体臭が強いと思わないで
 できるだけ体臭を感じなくするには、汗をかいたらこまめに拭く、シャワーを浴びる、清潔な服に着替えることなどが基本です。肉類やにおいの強い食べ物を食べると、体臭が強くなることもあるようです。
 また、人より体臭が強いと思い込まないことも大切。「体臭があるから嫌われている」と思うのは、心気症の可能性もあります。


わきが
アポクリン汗腺の分泌が多いのが原因
汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類がありますが、そのひとつ、アポクリン汗腺は、わきの下や陰部など、特定の部位にだけ分布しています。
 そして尿素や脂肪酸、アンモニアなどがミックスした、においの強い成分の汗を、気温とは関係なく出します。その分泌が多くて、わきの下が不快になるのを「わきが」といいます。
 アポクリン汗腺の分泌が多くなる原因はわかりませんが、わきがは遺伝的要素が強く、両親がわきがの場合は子どもの50%がわきがになるというデータがあります。また、アポクリン汗腺は毛穴の中に開いているので、毛深くて毛穴の数が多い人は、わきがになりやすい傾向にあります。

思春期に強く年齢とともに弱くなる
 わきがは、性ホルモンの分泌と関係しており、性ホルモンの活動が盛んになる思春期に強くなり、年齢とともに弱くなります。
 思春期に、家族などに「におうのでは?」などと言われたことで、自分がわきがだと思い込んでいる人もいます。
 日本人でわきがの人はまれですから、強く思い込まないようにしましょう。

わきの下の清潔に気を配って
 いちばんのわきが対策は、わきの下を清潔にすることです。汗をかいたらよくふき取ったり、こまめにシャワーをあびましょう。脱毛することでもにおいは抑えられます。
 通気性のいい素材の服を着たり、市販の制汗剤スプレーを上手に使うのも方法です。
 汗腺を切除する手術や、毛根を1本ずつ電気分解してアポクリン汗腺を破壊する手術もありますが、わきの下に傷跡が残ることもあるので、よく考えた方がいいでしょう。

巻き爪
きゅうくつな靴と深爪が原因
 爪の縁が指の肉に食い込んで赤く腫れ、痛みます。ほとんどは足の親指に起こり、ひどくなると出血して、歩くのが困難になります。
 L型の巻き爪はいちばん多く見られるタイプで、ハイヒールや、つま先の細い靴など、きゅうくつな靴をはいて圧迫されたり、深爪が原因で起こります。
 肥厚型の多くは、爪の水虫が原因。ペディキュアで隠し、病院に行かずに悪化させることが少なくありません。他に、O型、n型など、先天的な爪の形の異常から起こる場合もあります。

くり返す人は皮膚科に相談を
 一般的には、一度巻き爪になっても、靴を変えたり、爪の切り方を変えるとよくなります。
治療法には、爪が食い込む部分にビニールのチューブをかぶせたり、爪の下にガーゼや金属のプレートを入れたり、形状記憶の針金を用いて爪を矯正するなどの方法があります。炎症を起こして腫れている場合は、抗生物質や抗炎症剤を使用します。
 くり返す人には、爪の両端を根元から切り取る手術がありますが、爪が細くなったり変形する事があるので、医師とよく相談してから検討しましょう。
 またフェノール剤で爪が成長する部分を凝固し、爪が生えてこないようにするフェノール凝固療法が成果を上げていますが、再発の可能性もあります。

髪が抜ける
 原因は頭皮が傷み、血行が悪くなること
 ブラッシングやシャンプーをするときに、一日100本くらいの髪の毛が抜けるのは正常範囲ですが、まとめてバサッと抜けるのは、シャンプーが合わない、洗いすぎ、強いブラッシング、ドライヤーのあてすぎなどで頭皮が痛んでいたり、円形脱毛症になっていることが考えられます。
 髪の毛をつくっているものは毛母細胞です。これは頭皮の毛細血管から栄養を摂取しているため、血行が悪くなると栄養が毛母細胞に行き届かず、毛根自体がやせ細ってしまいます。ですから抜けた毛の根元が細かったり、毛髪全体が細くなってきたときは、要注意です。タバコやストレス、偏食、急激なダイエットによる栄養不足は、その原因になります。
 また、出産後に抜け毛が増えるのはホルモンのバランスが崩れるためで、徐々に回復します。

抜け毛を予防するケア
 ドライヤーは熱風を遠くからあてる。できるだけ短時間に。

 栄養バランスのよい食事を。ミネラル分を積極的にとる。

 タバコは頭皮の血行を悪くし、栄養を行きにくくする。

 ブラッシングはやさしく。パーマなどは十分間隔をあけて。

 ぬるめのお風呂にゆっくり入るとストレスも軽くなる

 頭皮マッサージを。洗髪時にも指の腹で頭皮をていねいに。


異常な抜け毛は皮膚科を受診
異常な抜け毛や、頭皮にかさぶたがついていたりするときは、脂漏性湿疹や、カビに感染していることもあるので、皮膚科へ。「円形脱毛症」の場合は、早い時期に病院へ行くことが大切です。原因には免疫異常とストレスのふたつがあります。

毛髪が薄いのがきになるときは、部分かつらを使うのも方法です。


白髪・ふけ症・切れ毛
メラニン色素がつくられないと白髪に
 髪の毛をつくる毛母細胞の中には、色をつくり出すメラニン色素があります。それが、なんらかの原因でつくられなくなってしまうために、白髪になります。
 年をとって白髪になるのは老化現象です。若くしてなるのは、遺伝的要素が強いようです。
 また「しろなまず」という、皮膚の色が抜けて、白い斑点になる病気があり、その病気で頭皮の色素が白く抜けると白髪になります。原因はよくわかっていません。
 よく「一夜にして白髪になる」などといわれますが、今、生えている毛のメラニン色素が抜けることはないので、そうしたことはありません。
 白髪は予防したり、治療することはできませんが、気になればヘアカラーをする方法があります。

乾燥性のふけ症と脂性のふけ症
 ふけは、頭皮からはがれ落ちる古い角質です。角質は表皮細胞が変化したもので、皮膚を乾燥や刺激から守っていますが、新しい角質ができると古い角質がはがれ落ちるのです。
 ふけ症には、乾燥性と脂性があります。日焼け、過度のドライヤー、シャンプーのすすぎ残しなどで表皮が傷つくと、乾燥性のふけの原因になります。
 一方、脂性のふけの多くは、脂漏性湿疹が原因です。また、洗髪が少ないと古い角質が取れないため、脂性のふけの原因になります。
 乾燥性のふけの場合は、保湿効果が高く、刺激の少ないシャンプーを使うといいでしょう。脂性のふけの場合はきちんと洗髪をして、皮膚科に相談しましょう。

切れ毛の原因は髪の毛への強い刺激
 毛髪に強い刺激を与えるとパサパサして、切れやすくなります。例えば強いブラッシング、シャンプーのしすぎ、ヘアカラーやパーマ、脱色剤などの成分、プールの塩素、ドライヤーの熱、風、日光(紫外線)などは、切れ毛の原因になります。
 ですから、まずはできるだけ原因を避けること。そして、トリートメントをすれば、毛の表面にあるキューティクルがギュッとしまって、しっとりとした髪になります。
 しかし、トリートメントだけでは髪は丈夫になりません。たんぱく質をとることや、また亜鉛不足は皮膚をカサカサにするので、海草などからミネラル分をとることも大事です。栄養バランスを崩すダイエットは、よくありません。


毛深い
体毛が濃くて多いのは体質的なこと
 美容を気にして、腕やすねの毛が多い、濃いと、悩む女性が多いようですが、毛深いのは体質的なことです。ただ乳輪までにもぼうぼうと毛が生え、月経不順や無月経を伴うときは、多嚢胞性卵巣症候群のことがあるので、婦人科を受診しましょう。

むだ毛処理は前後にしっかり注意を
 むだ毛処理には次の方法があります。毛の色を抜いてめだたなくする「脱毛」、カミソリで「剃る」毛抜きで1本ずつ「抜く」、ワックスやジェル状の脱毛剤を使って根元から「抜き取る」アルカリ剤で毛を溶かす「除毛」発毛を抑制する効果があるという「パパイヤの酵素剤を使う」。
 ただ、どの方法にも一長一短があり、肌へのダメージは避けられないので、使用前のテストと、使用後の手入れを怠らないでください。



あなたの








女性の医学

Part1
女性のからだを知っておこう

思春期〜更年期までのからだの変化
からだのしくみ
からだのリズムと変化
月経のこと、もっと知っておこう
基礎体温で、からだの変化をチェック!
女性ホルモンの働き
妊娠のしくみを知っておこう
婦人科のかかり方と選び方
婦人科で受ける診察と検査
column 婦人科の定期検診を受けて病気の予防を

Part2
女性に多いからだの悩み
●女性だけのからだの悩み
月経痛がつらい!
月経日がずれたり、月経がこなかったりする(月経不順)
月経の量や状態が心配(過多月経)
月経の時期じゃないのに出血する(不正出血)
月経の前になると不快な症状が現れる(月経前緊張症/PMS)
おりものの様子がヘン!
あそこがかゆい・痛い!
おなかの下のほうが痛む
おっぱいの痛みやしこり、形が気になる

●女性に多い日常的な悩み
立ちくらみ
むくみ
肩こり
からだの冷え
トイレが近い(頻尿)
尿もれ(尿失禁)
下肢静脈瘤
column 婦人科治療と漢方薬

●女性に多い皮膚の悩み
ニキビ
シミ
湿疹・かぶれ
アトピー性皮膚炎
ドライスキン・オイリースキン
水虫(白癬)
タコ
魚の目
粉瘤・ガングリオン
イボ
汗かき・体臭
わきが
巻爪
髪が抜ける
白髪・ふけ症・切れ毛
毛深い

Part3
女性とセックス
あなたのセックスは、大丈夫?
初体験を迎える前に
女性と男性の性反応は異なる
セックスのスタイルのいろいろ
Dr.アカエダの セックスの悩みまるごと解決!

初体験って、痛いの?
膣けいれんを起こしたときは?
コンドームの避妊率は100%じゃないの?
女性に性欲があるのはヘン?
複数の人とHするのはダメ?
お風呂の中でHしてはダメ?
月経中のHは妊娠しない?
精液を飲んではいけないの?
援助交際って何?
彼がコンドームを嫌がる
アナルセックスは危険?
モーニングアフターピルって、何?
ピルを飲んでいれば、コンドームはいらない?
性感染症の検査を受けたいけど
彼が性感染症に感染しているか見分ける方法は?
ピンポン感染って、何?
性経験が多いと、子宮頸ガンになりやすい?
セックスの快感がわからない
レイプできもちよくなるの?
セックスできれいになる?
新婚なのに、セックスレス
セックスのあと少し出血することが
性器の形が気になる
おっぱいの形が気になる
妊娠中にHしてもいいの?
避けたほうがよい体位は?
妊娠したらHが苦痛に

妊娠を望まないなら、必ず避妊を
性感染症には、絶対かからないで!
性感染症を予防するために知っておくこと
望まない妊娠をしてしまったとき

Part4
もっときれいになりたい!
健康的なダイエットで美しさをキープ!
顔とからだを磨いて、もっときれいになろう!
レザー治療についてしっておこう
美容整形を受けたいと思ったら
column 女性とタバコの害

Part5
ストレスと心
ストレスと心の病
心のクリニックを受診してみよう
いろいろな治療法
ストレスから起こりやすい心の病
 うつ病
 神経症(神経症性障害)
 自律神経失調症/不眠症/心身症
 依存症
 過食症・拒食症(摂食障害)

付録 女性だけの病気辞典
子宮・卵巣・膣・外陰部の病気
子宮筋腫
子宮内膜症
子宮の位置異常
子宮頸管ポリープ
子宮頸部びらん
子宮頸管炎
子宮付属器炎
子宮頸がん
子宮体がん
卵巣機能不全
多能胞性卵巣症候群
卵巣腫瘍
卵巣がん
非特異性膣炎
カンジタ膣炎
バルトリン腺炎・腺膿瘍
外陰炎

おっぱいの病気
乳腺症
乳腺線維腺腫
乳腺炎
乳がん

女性がなりやすい病気
膀胱炎
便秘/痔
頭痛/貧血
低血圧症
骨粗鬆症
外反母趾

性感染症(STD)
性器クラミジア感染症
エイズ(後天性免疫不全症候群)
膣トリコモナス症
梅毒
淋病感染症
性器ヘルペス
尖圭コンジローマ
毛じらみ


思春期〜更年期までのからだの変化

 女性のからだは、女性ホルモンの影響を受けながら「思春期」「成熟期」「更年期」のサイクルに分けられます。ここでは、思春期から更年期までの変化を追ってみてみましょう。

思春期(8〜20歳頃)
子どもから大人へ移行する時期です。思春期前期、中期、後期に分けられます。

思春期前期(8〜12歳頃頃)
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が増え始め、卵巣の中の原始卵胞の成熟が始まります。

思春期中期(12〜15歳頃)
10〜14才に初潮を迎えることが多く、平均は12歳。まだ卵巣機能は未熟です。

思春期後期(15〜20歳頃)
卵巣機能も成人女性と変わらなくなり、月経周期も安定。生殖器の発達もゴールを迎え、妊娠、出産が可能になります。

思春期全般に、興味本位の性行動に注意したいもの。望まない妊娠や性感染症にかかるリスクも高まります。妊娠のしくみや性感染症を正しく理解して、からだを守ることを最優先に考えて。

30代前半では、こどものいる人は育児に忙しく、仕事をしている人では責任ある立場に置かれるなど、充実した生活を送る反面、さまざまなストレスに悩むことも。40代に入ると体力的な衰えを感じることが増え、ますます健康に留意することが望まれます。

成熟期(20〜45歳頃)
卵巣機能が下り坂に入り、少しずつエストロゲンの分泌が減少していきます。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん、乳がんなど、女性特有の病気を心配する時期でもあるので、定期的に婦人科検診を受けましょう。

エストロゲンにはカルシウムを備蓄して骨を強くするはたらきがありますが、更年期になるとエストロゲンの分泌が減るため骨からカルシウムが抜け、骨粗鬆症になりやすくなります。予防のためにも、10〜20代から乳製品や小魚といったカルシウム豊富な食品を積極的にとり、適度な運動を習慣に。

更年期(45〜60歳頃)
卵巣機能が低下しはじめてから機能しなくなるまでの間が「更年期」。閉経を挟んだ前後10年をさします。

更年期前期(45〜50歳頃)
卵巣機能の低下に伴い、月経の周期や状態に変化が現れてきます。多くは、出血量が減る、月経の日数が短くなる、定期的にきていたのに間隔が短くなったり長くなったりしますが、中には「突然、月経がこなくなって、それっきり」という人も。人によっては更年期障害に悩まされることもあります。

更年期後期(50〜60歳頃)
多くの人が閉経を向かえますが、個人差があります。ちなみに閉経の平均年齢は50.5歳です。また、コレステロールや中性脂肪を抑える働きをするエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されなくなることによって、高脂血症を起こしやすくなり、高血圧や狭心症といった生活習慣病にかかりやすくなります。また、ホルモンバランスが狂うことにより、太りやすくなります。

更年期障害とは?
更年期に現れる不快な症状を「更年期障害」といいます。代表的なものをあげてみました。

ホットフラッシュ・発汗
外気の温度に関係なく、昼夜問わず、突然顔が熱くなってほおが赤くなったり、からだが熱くなって、汗がダラダラ出ます。自律神経には血管を収縮させたり拡張させたりする働きがありますが、更年期によるホルモンバランスのくずれによって自律神経のバランスが不安定になり、この機能がうまく働かなくなるために現れます。

疲労・倦怠感
ホルモンバランスのくずれによって、からだがだるくて疲れやすく、思うようにからだが動かないということもあります。

動悸・息切れ
エストロゲンの不足によって、動悸や息切れといった循環器系の症状が現れ、急にドキドキしたり、呼吸が苦しくなります。

精神的症状
家族の何気ない言葉や態度にカッとなったり、イライラしたりします。また、不眠や物忘れ、やる気が起きない、集中力がないなど、さまざまな精神症状が現れることがあります。

更年期障害の治療には、不足した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)や漢方治療などがあります。ただし「更年期障害だと思っていたら実は病気だった」といこともあるので、まずは内科的な検査を受けるようにしましょう。


からだのしくみ

女性器は、外側の「外性器」から、からだの中の「内性器」に広がる構造になっています。そのため細菌などに感染すると、からだの中へ中へと病巣が広がるので注意しましょう。

内性器のしくみと働き
膣 外陰部の膣口から子宮までをつなぐ長さ7〜8cmの器官。入り口にヒダ状の処女膜があり、真ん中に小指1本分の穴が開いています。膣の内側はやわらかい粘膜でおおわれ、セックスのときはペニスを受け入れ、出産のときは赤ちゃんが通るほど伸びます。

子宮 受精卵の着床から生まれるまで、赤ちゃんを育てるための器官。膣の上にあり、骨盤膣の真ん中に浮かんだように位置しています。上のほう3分の2が子宮体部、下のほう3分の1が子宮頸部です。
 子宮の外側は厚さ1〜3cmの伸縮性に富んだ筋肉でできていて、ふだんの大きさは鶏卵ぐらいですが、妊娠すると赤ちゃんの成長に合わせてグングン大きくなります。臨月の頃は長径30〜35cmぐらいになります。
 内側は子宮内膜という薄い粘膜におおわれ、毎月エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響を受けて、周期的に増殖したりはがれ落ちたりします。これが月経です。

卵管 卵子と精子、および受精卵の通り道で、子宮の上の部分(子宮底部)から7〜12cmにわたってのびる管。子宮側から間質部、峡部、膨大部に分かれていて、先端はラッパのように広がっています。膨大部の先にはイソギンチャクのような形をした卵管采があり、卵巣から飛び出してきた卵子をつかまえます。卵管の中には、多数のヒダでおおわれ、卵管采で取り込まれた卵子はこのヒダの動きによって、卵管を通って子宮まで運ばれていきます。
 途中で精子と出会うと、受精卵となり子宮内膜に運ばれます。出会わなければ、卵子は月経血と一緒に外に出ます。

卵巣 子宮の両脇にそれぞれ1つずつあります。赤ちゃんのもとになる卵胞がつまった臓器で、大きさは親指の先ぐらいといわれますが、個人差があります。女性は、卵巣に100万個もの原始卵胞を持って生まれてきますが、毎月、そのうちの数個が発育し、そのうちの1個だけが成熟して排卵します。
 また卵巣は、女性ホルモンをはじめとするいくつかのホルモンを分泌するための大切な臓器でもあります。


外性器のしくみと働き
恥丘 恥骨結合の上のふくらんだ部分。思春期の頃から皮下脂肪がつき、陰毛が生えてきます。
大隠唇 恥丘の下から会陰までの皮膚。クリトリス、尿道口、膣などをおおい、保護しています。
小陰部 大陰唇の内側にあり、クリトリスから会陰の近くまで左右に伸びる伸縮性に富んだ薄いヒダ。
クリトリス(陰核) 外尿道口のちょうど上にあるちいさな突起。男性のペニスに相当する部分です。
膣前庭 小陰唇に囲まれた部分。前のほうに外尿道口、後ろのほうに膣口があります。膣口の左右両側には、バルトリン腺が開いています。
膣口 外尿道口の下にある膣の出口。月経血やおりものが出てきます。膣口の両側皮下には前庭球と呼ばれる組織があります。
バルトリン腺(大前庭腺) 膣の左右にある分泌腺。膣口の両側中央部に開口し、性的興奮によって薄い乳白色の粘液を分泌します。
会陰 大陰唇と肛門の間の部分で、外性器の最も後ろに位置します。

乳房のしくみと働き
乳房は、約10%の乳腺組織と90%の脂肪組織で形成。先端の突起が乳頭で、15〜20個の乳頭開口部があり、乳管洞、乳管につながっています。乳房の中の乳腺葉は、母乳をつくるうう場所で、小さな乳腺小葉が集まってできています。ここでつくられた母乳は、乳管と乳管洞を通って出てきます。乳頭周辺の乳輪には乳輪腺があり、表面に細かく突起しています。

乳房の成長と妊娠したとき
乳房は思春期頃からまるみをおび、月経が始まるとエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響を受け、乳管や乳腺の組織が発育。さらにまるくなってきます。成熟期になると乳腺組織はぶどうの房状になり、乳房全体がやわらかくなります。大きさには個人差があります。
 妊娠すると、母乳を出すために乳房は大きく変化。妊娠初期には乳頭が大きくなり、乳頭と乳輪の色が濃くなってきます。乳房の中では母乳をつくるために乳腺組織がどんどん発育します。
 母乳は、脳下垂体から出るプロラクチンというホルモンが乳腺に作用してつくられますが、妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンがプロラクチンを抑制して、母乳が出ないようにしています。
 出産するとエストロゲンとプロゲステロンは急激に減少し、プロラクチンが優位になり、さらに、赤ちゃんに乳首を吸われる刺激が脳に働きかけ、オキシトシンというホルモンが分泌され、母乳が出るようになります。

妊娠すると乳房の上下に「副乳」が見られることがあります。これは、複数の乳房を持つ哺乳動物のなごり。母乳が出るようになると、副乳をつまむと薄い母乳がでることもあります。産後は消えてしまう人もいれば、数年経っても薄く残っている人も。


からだのリズムと変化
月経から月経までの間に大きく変化
女性のからだは、月経から月経までの間をひとつの周期として、大きく変化しています。どの様に変化するのか知っておけば、妊娠を考えたときや、ふだんの体調管理にも役立ちます。
 月経中は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の量は量は少なくなり、脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が増加。FSHの働きによって、次の排卵までに、卵巣の中では数十個の原始卵胞の発育が始まります。発育中の卵胞からはエストロゲンが分泌され、子宮内膜を増殖させます。卵胞が十分に発育、成熟すると、次は脳下垂体から黄体化ホルモン(LH)が分泌され、この刺激によって成熟した卵胞から卵子が飛び出します。これが排卵です。排卵後、卵子を取り囲んでいた卵胞の細胞は黄体という組織に変化し、エストロゲンに加えてプロゲステロンを分泌するようになります。
 これらのホルモンの働きで、子宮内膜は厚くなり、受精卵の着床にそなえます。受精卵が着床し、妊娠が成立すれば、黄体はプロゲステロンを分泌しつづけますが、成立しなければ黄体は小さくなり、ホルモンの分泌も減少。子宮内膜ははがれ、月経血とともに排出されます。

月経のこともっと知っておこう

月経は、女性ならではの生理現象
毎月、きちんと月経がくるということは、妊娠するための大切な条件になります。P20でも解説したように、女性のからだは約1ヵ月に1回、卵巣から卵子を排出します。卵子がこの時期に精子と出会い、受精することができれば子宮は受け入れ態勢を整えて、受精卵の到着を待ちます。受精しなければその必要はなくなり、子宮内膜ははがれ、体外に排出されます。これが月経です。
 毎月、きちんと月経がくるためにあh、卵巣で排卵が起こり、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が一定のサイクルで分泌され、これらのホルモンに子宮が反応していることが条件になります。つまり、毎月きちんと月経があるということは、からだの機能が正常に働いているということの証拠。月経が規則的にこない、あるいは無月経が続いているといった場合は要注意。基礎体温をつけて、婦人科医に相談しましょう。

初潮年齢は10〜14歳くらいの間ですが、個人差があり、多少早くても遅くても心配することはありません。ただし18歳を過ぎてもこない場合(原発性無月経)は染色体異常や卵巣の発育不全、ホルモン異常が原因のことも。

排卵と月経のしくみ
@
視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌され、下垂体が刺激されると、次に卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌される。
A
卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で、卵巣の中の原始卵胞が成熟しはじめ、そのうちの1個が成熟卵胞になる。
B
成熟卵胞がエストロゲンを分泌する。
C
エストロゲンの作用で子宮内膜が増殖しはじめる。
D
一定量のエストロゲンが分泌されると、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が低下し、次に黄体化ホルモン(LH)の分泌が始まる。
E
黄体化ホルモン(LH)の作用によって成熟卵胞から卵子が飛び出す。これが排卵。
F
卵子が飛び出たあとの卵胞は「黄体」に変化し、プロゲステロンを分泌する。
G
プロゲステロンの作用で子宮内膜は厚くフワフワになり、受精卵が着床する準備を整える。
H
受精卵が子宮内膜に着床すれば妊娠成立。できなければ黄体ホルモンの分泌がストップ。子宮内膜ははがれて血液とともにからだの外に出る。これが月経。


基礎体温で、からだの変化をチェック!

基礎体温が変化するのは女性だけ
人間が必要最低限のエネルギーしか使っていないときの体温を「基礎体温」といいます。必要最低限のエネルギーとは、眠っているときの体温のこと。でも自分で眠っているときの体温は測れないため、朝、目覚めてすぐの、まだ活動していないときに測った体温を基礎体温と呼んでいます。毎朝測った体温を基礎体温表に書き込み、線でつないでグラフにすると、月経が始まると体温が下がり、約2週間低い状態(低温期)が続き、低温期の最終日にさらに体温が下がり(陥落期)、そこから体温は上昇し(高温期)、次の月経が始まる頃に再び下がる様子がわかります。こうした体温変化は男性には見られず、女性ならではの現象です。

健康管理や以上発見に役立つ
体温が最も下がった日に排卵している可能性が高いといわれますが100%ではなく、その前後1〜2日に排卵していることもあります。
 こうした体温の変化は、排卵後、プロゲステロン(黄体ホルモン)が脳の温熱中枢を刺激するためにおこります。つまり、体温が低温と高温の二相になるということは、卵巣で排卵があり、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロンがきちんと分泌されている証拠。基礎体温を測ることで月経の開始時期や排卵日を予測でき、妊娠したかどうかもわかります。また、排卵やホルモン分泌に異常があれば基礎体温がいつもと違うラインを示すこともあり、異常の発見にもなります。

女性ホルモンの働き
女性ホルモンって何?
ホルモンとは、からだの中の内分泌腺から分泌される物質。内臓や組織の働きをコントロールし、からだの状態を一定に保つ働きをしています。脳の視床下部や下垂体、甲状腺、副腎、膵臓など男女共通の臓器のほかに、男性は精巣(睾丸)、女性は卵巣からも分泌されます。とくに女性に大切なホルモンが、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)です。これは思春期頃から、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)や性腺刺激ホルモンの増加による影響を受けて分泌が増え、月経を起こし、妊娠を可能にます。また、卵巣からはプロゲステロン(黄体ホルモン)も分泌されます。これは主に排卵後に分泌され、受精卵が着床しやすいように子宮内膜の環境を整え、妊娠の成立を助けます。

下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)をあわせて「性腺刺激ホルモン」といい、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を助けます。

女性の健康を守る大切な働きがある
エストロゲンは女性の健康維持に役立っていて、コレステロールを抑制したり、骨にカルシウムを備蓄させて骨を丈夫にします。ほかに膣のうるおいを保ったり、ハリのあるみずみずしい肌を維持するためにも役立っています。そのため更年期になり、卵巣機能が低下してエストロゲンの分泌が少なくなると、高脂血症や骨粗鬆症になりやすくなったり、膣にうるおいがなくなるため自浄作用が低下し、膣炎を起こしやすくなるなど、さまざまな問題が生じてくるようになります。


妊娠のしくみを知っておこう
妊娠は、精子と卵子の出会いから
ここでは、1個の卵子と、約1億分の1個の精子が出会うことから始まる妊娠の過程をみていきましょう。
@排卵する
 卵巣の中の成熟卵胞がエストロゲン(卵胞ホルモン)を分泌し、その2週間後には脳下垂体から黄体化ホルモン(LH)が分泌され、1個の成熟卵胞から卵子が飛び出します。これが排卵です。
A卵子が卵管に取り込まれる
 卵胞から飛び出た卵子は、卵管の先の卵管采の働きで卵管に取り込まれます。卵子は卵管膨大部まで行き、精子がくるのを待ちます。
B精子が卵管へと向かっていく
 男性は1回の射精で約1億の精子を放出しますが、ほとんどが膣内で死絶。残った数十〜数百個の精子が子宮腔、卵管膨大部へと進みます。

排卵後の卵子は、約12〜24時間しか生きられず、この間に1億分の1の精子と出会わなければ妊娠は成立しません。妊娠とは、実に神秘的なものなのです。

C卵子と精子が出会って受精する
 卵子にたどり着いた精子は、卵子をおおい透明帯を突き破ることのできた1個だけが卵子の表面にたどり着き、受精が成立します。
D受精卵は細胞分裂しながら子宮に向かう
 受精卵ができ、細胞分裂を繰り返しながら子宮へと向かいます。子宮腔に入った受精卵は、受精後5日目には胞胚になります。
E子宮に着床する
 子宮内膜に胞胚がくっつき、中にもぐり込み着床します。のちに胎児や胎盤になります。

妊娠のしくみ
@卵巣から卵子が1つ飛び出す。
A卵管采が卵子をキャッチ
B精子が卵管に向かって進む。
C卵子の中に1個の精子が入り込み受精
D受精卵が細胞分裂しながら卵管を通って子宮へと向かう。
E受精卵が子宮内膜にもぐり込み着床する。

婦人科のかかり方と選び方

婦人科は女性のからだの専門科
婦人科は、妊娠・出産のほかにも月経に関すること、子宮や卵巣など女性器の病気、女性ホルモンに関係することや避妊、性感染症のことまでをトータルに診て、治療する専門科。心配なことがあったら、迷わず婦人科に相談してください。
 初めての受診では、性体験のことや妊娠の回数と時期、中絶経験があればその時期と回数を聞かれることがあります。これらはすべて、診断のために大切な情報です。隠さず正直に伝えましょう。
 なお、婦人科にかかる前には、最終月経日を確認し、基礎体温をつけているなら体温表を持参し、いつからどんな症状なのかをまとめておきましょう。

最近は、婦人科の病気に限らず、女性のからだと心をトータルに診る「女性外来」が増えています。女医が担当し、女性の立場から心とからだについてのアドバイスが受けられます。

婦人科の選び方
婦人科の病気の相談や治療、婦人科検診を受ける、あるいは避妊の相談をしたいときなどは、身近なクリニックがよいでしょう。できれば、受診したことのある人に評判を聞いて「ここなら」と思えるところを選びましょう。何かあったときや治療が長引いたときのためにも、通院のしやすさは大切な判断基準です。
「漢方治療が受けたい」といった明確な希望がある場合は、希望にあったクリニックを探して受診することです。
 また、総合病院や大学病院などの大病院は、入院や手術が必要になったときに、かかりつけ医からの紹介で受診するの一般的。ただし、婦人科意外に慢性の病気がある場合は、多科と連携のとりやすい大病院のほうが都合のいいこともあります。
 なお、費用は、たいてい健康保険が使えますが、避妊や月経痛を緩和するためのピルの処方、公費以外のがん検診などでは、自費診療になることがあります。


初めて婦人科にかかるときの注意
膣の中は洗わない⇒おりもの検査のときに、正確な結果がでないこともあります。
内診しやすい服装で⇒ズボンよりもスカートのほうが内診のときの着脱が楽です。
聞かれたことに正直に答える⇒性体験や中絶経験も大切な情報です。隠さず答えるように。
医師には素直な気持ちで⇒医師とのコミュニケーションも大切です。できるだけ素直な気持ちで医師に接するように。


婦人科で受ける診察と検査
問診で、医師に情報を提供 
初診では、まず問診が行われます。初潮年齢や月経周期、最終月経日など、即答しにくいことはあらかじめメモをしておくとよいでしょう。
問診 初めて会う患者さんの基本的な情報を得て、診断と治療に役立てるためのもの。別の科にかかっても必ず聞かれますが、婦人科で聞かれることは女性ならではの質問が多く、中には答えにくい質問もあります。でも、正確な診断と治療のためですから、隠さず話すようにしましょう。聞かれる内容は、おおよそ次のとおりです。
来院理由 どんな症状が、いつから続いているのか。
月経について 初潮年齢、月経周期(月経開始日から次の月経の開始日の前日までの日数)、最終月経、月経量、月経痛の有無など。
妊娠・出産経験 未経験者と経験者では、予測される疾患が変わることがあります。性体験の有無も診察方法を決めるための重要な情報です。
妊娠中絶、流・早産経験 過去の中絶回数と時期、流・早産の経験があれば妊娠何週だったかなど。
過去にかかった病気 婦人科の病気や手術の経験があれば、具体的に。婦人科以外の病気や、現在治療中の病気、服用中の薬も伝えます。

内診で詳しく診る
内診は、婦人科の基本的な診察。方法は、下着を脱いで内診台に乗り、開脚姿勢になります。医師は膣鏡という機械を膣に入れて、膣内と子宮の入り口の状態を診ます。次に手袋をつけて、膣内に指を入れて、反対の手でお腹を押さえて、子宮や卵巣の状態を診察します。
 内診では、外陰部や膣の状態、おりもののの状態、子宮膣部の様子、子宮の向きや位置、大きさ、硬さ、周囲の臓器との関係、卵巣腫瘍の有無などがわかります。
 内診はさほど時間もかかりません。緊張してからだが硬くなっていると診察しにくいうえ、痛みを感じることもあります。できるだけリラックスして受けましょう。

婦人科で受ける検査
超音波検査
からだに超音波をあて、跳ね返ってくる反射波が画像となり、からだの中の状態が判る検査。超音波を発するプロープ(探触子)をおなかの表面にあてる経腹法とプロープを膣内に入れて診る経膣法とがあります。経膣法のほうが、子宮や卵巣の状態が鮮明にわかります。
尿検査
ホルモンの状態や細菌の有無などがわかります。妊娠判定のときは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)という胎盤の絨毛組織から分泌されるホルモンを検出することで、妊娠していることがわかります。妊娠検診では、毎回、糖や蛋白のチェックを行います。
血液検査
ホルモンの状態、貧血の有無、クラミジアなどの性感染症の有無もわかります。ほかに子宮にしこりがあったり、卵巣がはれているときなどは、それが良性か悪性かを判断するための腫瘍マーカーを調べることができます。
おりもの検査
膣内に膣鏡を入れて綿棒でおりものを採取。顕微鏡で見たり培養検査をして、細菌やカビがいるかどうか調べます。クラミジア頸管炎が疑われる場合は、子宮頸管内のおりものを採取し、クラミジアの有無を調べます。
細胞診
綿棒などで子宮内の細胞を採取して、癌細胞がないかどうか調べます。子宮頸部の細胞を取る場合、痛みはまずありません。子宮体がんや不妊症の原因を検査する場合は、さらに奥の子宮体部の細胞を採取しますが、この場合、軽い痛みを感じることもあります。
腹腔鏡検査
子宮内膜症や不妊症のときに行われます。全身麻酔でおへその下に小さな穴を開け、先端にカメラのついた器具を入れ、骨盤内の様子を観察します。
子宮鏡検査
子宮の中に小さなカメラを入れ、子宮内膜の様子を診ます。子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮体がんなどの場合に行われます。

こうした検査のほかに、磁気を利用したMRI検査が行われることもあります。卵巣がんや卵巣腫瘍、子宮内膜症などの病変がどこに起きていて、どんな状態なのかわかります。

婦人科の定期検診を受けて病気の予防を
婦人科の病気は初期には症状が出ないことが多く、症状が現れたときには、病状が進行していることが少なくありません。でも早期発見、治療すれば治る率が高い病気でもあります。最低でも年1回は定期検診を受けましょう。
 子宮がんや乳がん検診は、全国の地方自治体でも実施されていて、全額または一部が補助されます。条件や方法は自治体によっていろいろで、子宮頸ガン検診は25〜30歳以降、乳がん検診は40歳以降の人を対象にしているところが多くなっています。告知方法も、該当年齢に検診通知が送られてくるところや、広報にがん検診のお知らせが掲載されているところなどいろいろです。
 いずれにしても、受診方法や詳しい内容は、市区町村役場に問い合わせてから受けることをおすすめします。なお、会社にお勤めの場合、会社の健康組合が費用を補助してくれる場合もありますので、これを利用してもよいでしょう。
 子宮頸ガンは30歳以降、子宮体がんは50歳くらいからかかりやすいといわれていましたが、近年子宮頸ガンは若年で発症する傾向が見られ、子宮体ガンも増加しています。
 公費検診は実施年齢に制限がありますから、心配なときは、かかりつけ医による検診を受けるようにしましょう。

女性に多いからだの悩み
月経痛がつらい!

なぜ、月経痛は起こるのか?
「毎月の月経痛が悩みのタネ」という女性は多いもの。あんまりつらいときは「女性だけ不公平!」なんて思うこともありますよね。月経痛は、月経時に見られる下腹部痛で、人によっては腰痛を伴うこともあります。月経初日から2〜3日目に起こる人が多いようです。
 月経痛には2種類あり、ひとつは特に原因になる病気がないのに起こる機能性の月経痛で、もうひとつは子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫などといった病気があるために起こる器質性の月経痛です。機能性の月経痛は、子宮内膜で産生されるプロスタグランディンという物質の分泌量が多いために起こると考えられています。
 プロスタグランディンとは、子宮を収縮させて月経血の排出を促す働きがあり、この分泌が多いと子宮の収縮が強くなり、月経痛が強くなります。

鎮痛剤、漢方薬、ピルが有効
機能性の月経痛の治療は、傷みの強い時期に鎮痛剤を飲んで痛みを和らげる対症療法がメインになります。鎮痛剤は市販のものでもよいですし、婦人科や内科で処方してもらってもよいでしょう。
 また、漢方薬による治療もあります。月経痛に用いられるのは、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、温経湯、加味逍遥散などです。希望するなら婦人科医に相談を。ほかに、低用量ピルを使用すると月経の量が減少し、痛みも和らぎます。ただし、健康保険の適用にはなりません。
 以上のほかに、点鼻薬や注射で卵巣の働きを抑えてしまう「偽閉経療法」もあります。この治療を行っているときに月経がこなくなることが多く、月経に伴う不快な症状もなくなりますが、持続すると女性ホルモンの不足による障害が現れるため、長期治療はNGです。
 なお、月経痛の原因となる病気がある器質性の月経痛は、痛みに対する対症療法を続けながら病気の治療を進めていきます。

 今まで月経痛がなかったのに、急に月経痛が強くなったという場合は、子宮や卵巣に何かしらの病気が起きているかもしれません。月経が終わってから婦人科を受診しましょう。

鎮痛剤は痛みの原因のひとつといわれているプロスタグランディンの合成を阻害して、痛みを和らげます。


月経日がずれたり、月経がこなかったりする(月経不順)

頻発月経と稀発月経
毎月、決まった時期に月経がくることは、卵巣機能が元気に働いている証拠。おおよその目安として、25〜38日の範囲内でくるなら正常で、多少のズレはまったく心配ありません。
 でも、いつ月経がくるのかわからないほど周期がばらついていたり、急に月経がこなくなったという場合は、病気の可能性があります。病的な月経不順には、周期が24日より短く、月に2〜3回も月経がきてしまう頻発月経と、周期が46日を超える稀発月経とがあります。
 いずれも、排卵していない無排卵性と排卵している排卵性のタイプとがあります。両者とも無排卵性は思春期や更年期の人に多く、卵巣機能が未熟だったり低下していることが原因です。
 20〜40代の場合、無排卵が長く続くと不妊や子宮内膜の異常などの原因になりますから、排卵誘発剤やホルモン剤などを使った治療を考えます。
 排卵性の場合は、不妊や貧血などの問題がなければ経過観察したり、必要に応じてホルモン剤で月経周期を調節します。
突然月経がこなくなったときは妊娠の可能性も。セックスのあと、月経予定日にこない場合は、1週間を目安に妊娠判定薬で調べてみましょう。

突然、月経が止まったときは
それまで順調にきていたのに、突然月経がこなくなることがあり、これを続発性無月経といいます。
極端なダイエットやストレス、過激なスポーツなどが原因になることが多いほかに、月経をコントロールする脳の視床下部や下垂体の機能低下、甲状腺や副腎の病気が原因になっていることもあります。
 原因が、ストレスや極端なダイエット、スポーツのしすぎなどの場合、ホルモン療法による治療が行われます。月経不順を甘く見て長期間放置すると、いざ治療を受けても、なかなか月経がこないことが多く、将来、妊娠しにくくなることもあります。
 突然月経がこなくなったら、最低でも3カ月以内に受診して、治療を開始するようにしましょう。
 また、18歳になっても初潮がおとずれない場合を原発性無月経といいます。原因は、染色体異常による卵巣の発育不全や先天性の性器形成障害であることが多いものですが、ほかに副腎や甲状腺などの病気が原因となっていることもあります。

月経の量や状態が心配(過多月経)

どのくらいの月経量が正常?
 毎月、月経の1〜2日目には、日中でも夜用ナプキンを使わなければ心配な人、昼用ナプキンをこまめに交換すれば問題のない人など、月経量には個人差があります。
 自分の月経の量が多いか少ないかは、なかなか判断しにくいものですが、一般的に、1回の月経期間の出血量は平均50〜60gといわれています。
 これはだいたいナプキンを20枚程度交換する量。正常な月経期間は3〜7日で、月経開始の1〜2日目が最も出血量が多く、3日目以降減ってくるのがふつうです。一般的に、出血量の多めの人で、月経の2日目までは寝るときに夜用ナプキンを使用し、昼間は1時間半〜2時間に1回ナプキンを交換し、3日目以降はナプキンを交換するペースが減ってくる、というパターンが多いのではないでしょうか。

出血量が多すぎる
 ナプキンを重ねて使ってももれてしまうなど、日常生活に支障をきたすほど月経量が多いことを「過多月経」といいます。月経量にレバー状のかたまりが混じる、あるいは1時間に何度もトイレに行かなければならない、月経の2日目程度の出血量が何日も続くといった場合は、過多月経と考えられます。
 過多月経かそうでないかは、貧血があるかどうかが判断基準になりますから、一度、検査を受けてみるとよいでしょう。
 過多月経も原因により大きくふたつに分類されていて、子宮筋腫や子宮内膜症といった病気や全身性疾患を原因とする器質性過多月経と、原因になる病気がない機能性過多月経があります。
 機能性過多月経の原因は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の過剰分泌や無配卵生月経など、ホルモンバランスの乱れによるものが多くなっています。 
 思春期頃の過多月経は機能性過多月経がほとんどですが、20〜30代以降にかけて徐々に進行する過多月経は、気質的なものが増えてきます。治療は、日常生活の障害の程度、貧血の強さ、原因になる病気の有無などを総合的に判断して考えていきます。

過多月経の人の多くが、月経期間が長くなる傾向があります。これを過長月経といいます。心配なときは必ず受診を。

月経の時期じゃないのに出血する(不正出血)

不正出血の原因はいろいろ
 月経は、毎月一定の周期で起こる子宮内膜の剥離出血です。不正出血とは、月経とは別に、子宮、膣、外陰部から出血が起こるもので、規則正しい月経以外の出血は、すべて不正出血です。不正出血から連想される病気に子宮がんがありますが、それを含めて、不正出血の原因にはいろいろなものがあります。
 妊娠していない場合は、外陰炎や非特異性膣炎、子宮筋腫、子宮頸管炎、子宮頸管ポリープなどの良性腫瘍や子宮頸ガンをはじめとする悪性腫瘍などが原因であることがあります。ほかに病的な原因がなく、ホルモンバランスの乱れによると思われる機能性出血もあります。
 また、妊娠初期の出血には、受精卵の着床に伴い少量の出血が見られる着床出血のほか、切迫早産、子宮外妊娠、胞状奇胎(卵膜や胎盤をつくる絨毛が異常増殖して水泡のようになる病気)などがあります。

自己判断しないで必ず受診を
 年齢別では、10代で機能性出血が多く見られますが、最近は感染による炎症や子宮頸部の細胞異常が原因のことも増えています。
 閉経前後の場合も、機能性出血のことがおおいものですが、この年代では子宮体がんとの区別が大切です。特に閉経後の出血は必ず子宮体がんの検査を受けましょう。
 20〜30代の不正出血で、特に月経が遅れているような場合は、必ず妊娠のチェックをしておきましょう。なお、性感染症による炎症性出血の可能性がある場合、放置するのは危険です。早めに受診して、検査を受ける必要があります。
 不正出血の中には排卵前後の数日間、少量の出血が見られる中間期出血や、セックスのあと膣の一部が傷つき少量の出血が見られるなど、心配のない出血もありますが、自己判断は禁物です。
 不正出血が見られたら、必ず婦人科を受診して検査を受けましょう。

セックスのあと、毎回出血するような場合は、子宮頸ガンの可能性も否定できません。子宮頸ガンは若年化が進んでいます。「自分は大丈夫」と思わないで、がん検診を受けるようにしてください。

月経の前になると不快な症状が現れる(月経前緊張症/PMS)
月経前緊張症って何?
 月経開始の1週間前頃から現れる、心身の不調を「月経前緊張症」(PMS)といい、別名、月経前症候群とも呼ばれます。
 月経前緊張症は、最近になってようやく知られるようにはなりましたが、月経に関連する症状の中では、まだまだ認知度は低いといえます。
 症状は、月経の1週間ほど前になると、イライラや不安などの精神症状や、頭痛、むくみ、乳房の張りや痛み、下腹部痛といった身体症状が現れます。
 ほかに、ほてりや倦怠感、やたらと眠い、不眠、肩こりなどがある人もいます。精神症状が強く現われる人では、理由もなくイライラして家族にあたる、憂鬱な気分になり落ち込むなど、日常生活に支障をきたす場合もあります。
 身体症状では、むくみによって、ふだんはふつうにはけていたスカートをきつく感じたり、靴がきつくなることもあります。こうした症状が、月経開始とともに消え、次の月経の前に再び同じ症状が現われるというパターンをくり返します。人によっては、月経が始まって2〜3日続くこともあるようです。

つらいときは婦人科に相談を
 月経前緊張症は、起こる人とおこらない人がいますが、神経質な性格や几帳面な人、また月経痛の強い人に起こりやすいともいわれています。
 原因は、排卵後にプロゲステロン(黄体ホルモン)が急激に増えることと、脳のホルモン中枢である視床下部との関係などが指摘されていますが、まだはっきりわかっていません。
 月経が始まれば症状は治まりますが、つらいようなら婦人科に相談しましょう。婦人科ではそれぞれの症状に合わせた対症療法で、毎月の症状を軽くすることを考えます。

月経前緊張症によく見られる症状
精神症状
・イライラする
・憂鬱になる
・やる気が起きない
・理由もなく不安になる
・落ち込みやすい
・涙もろくなる
・攻撃的になる

身体症状
・むくみ
・下腹部痛
・頭痛
・肩こり
・倦怠感
・眠い
・不眠
・乳房の張りや痛み
・吹き出物が増える

月経の前に症状が現われるなら、いつから現われるのかチェックしてカレンダーに記録してみましょう。月経前の決まった時期に現われるなら月経前緊張症かもしれません。つらいようなら婦人科に相談を。


おりものの様子がヘン!
周期的に性状が変わる
 おりものは、子宮や膣から出る年液状の分泌液。女性ホルモンと密接な関係があり、周期的にその性状や量に変化があります。
 月経が終わってまもなくすると、半透明の粘り気の少ないおりものが出始め、しだいに量が増えてきます。排卵が近くなると、透明でサラッとしたおりものになり、さらに量が増えてきます。
 排卵日直前になると、透明で糸を引くような性状になります。これは女性ホルモンの増加に伴い子宮頸部から分泌される頸管粘液が増えるためです。排卵後は、白色〜黄白色の粘りのあるおりものになり、量も少なくなります。

おりものの状態で病気がわかる
健康なときのおりものは乳白色で、下着について乾燥すると、白っぽくなったり、やや黄色みがかったりし、酸っぱい臭いがすることもあります。
 しかし、膣や子宮に病気が起こると、おりものの状態が変わることがあります。具体的には、異常に量が多い、臭い、黄緑色や茶褐色、血液が混じる、膿のよう、硬くてポソポソしているといった状態です。さらに、外陰部や膣のかゆみといった別の症状を伴うことも多く、こうした場合になんらかの病気が考えられます。
 特に、性感染症に感染した場合は、おりものに異常が現われることが多く、早期発見、治療のきっかけになります。おりものに異常を感じたら、早めに婦人科にかかりましょう。

日ごろから清潔を心がけて
 病気ではなくても、抵抗力が落ちたり、ホルモンのバランスがくずれたりすると膣内の自浄作用が弱まり、大腸菌などによる膣炎が起こり、おりものが増えることがあります。
 また、排卵日の前などにおりものの量が増えて、外陰部にかぶれを起こすことがあります。おりものの量が気になるときは、下半身を締め付ける衣類はやめて、通気性のいい下着を身に着けるようにします。下着の汚れが気になるなら、おりもの専用シートを利用して、まめに取り替えるとよいでしょう。

思秋期頃はまだ女性ホルモンの分泌が不安定なので、おりものは増えたり減ったりします。女性ホルモンの分泌がピークを迎える20〜30代になると量が増え、更年期から閉経に向けて減少していきます。


あそこがかゆい・痛い!
かゆみの原因の多くはムレや汗
 きついジーンズをはいてムレたり、汗ばむだけでも、外陰部はかゆくなります。でもこれは一時的なもので、きついジーンズをはくのをやめて、通気性のよい衣類に変えるといった工夫で、解消します。
 このほかに、おりものや月経血にかぶれて外陰部がかゆくなることもあります。特に排卵日前のおりものが多い時期は、いつも外陰部が湿っていることが原因になります。
 月経中も、常に皮膚に月経血が触れていることや、ナプキンの素材が合わないため、かぶれることがあります。特に皮膚がかぶれやすい体質の人は、外陰部の皮膚も弱いので、注意することです。
 おりものが多いときは、おりもの専用シートを利用して、まめに交換するようにしましょう。生理用ナプキンにかぶれるようなら、別の製品に変えてみることです。月経中は、まめにシャワーをして、外陰部を清潔に保つようにします。

強いかゆみや痛みがあるとき
 外陰部は、便や尿によって不潔になりやすい部位ですから、大腸菌やブドウ球菌といった一般的な細菌の感染が起こることもあります。炎症が起きると、痛みやかゆみ、発赤、膿疱などが見られます。
 じっとしていられないほどのかゆみや熱感がある場合は、カンジダ膣炎や膣トリコモナス症が考えられます。こうした病気の場合、治療を受けなければ治りません。できるだけ早く婦人科で診察を受け、治療を始めましょう。

外陰部の症状から考えられる病気
かゆみ
症状 外陰部に強いかゆみがある
疑われる病気 外陰掻痒症

症状 かゆみのほかに、白いポロポロしたおりものがある
疑われる病気 カンジダ膣炎

症状 外陰部が腫れて、強いかゆみがあり、黄緑色の膿のようなおりものがある。
疑われる病気 膣トリコモナス症

症状 陰毛を中心に激しいかゆみがある
疑われる病気 毛じらみ

症状 外陰部のまわりにイボができて、かゆみがある
疑われる病気 尖圭コンジローマ

痛み
症状 外陰部に水泡や潰瘍があり、激しく痛む
疑われる病気 性器ヘルペス

症状 膣口の周辺が腫れて、痛みを伴う
疑われる病気 バルトリン腺炎


おなかの下のほうが痛む
下腹部痛の原因はいろいろ
 ひと言に「下腹部が痛い」といっても、女性の骨盤内には、腸、膀胱、尿管といった内臓器と、子宮、卵巣、卵管などの女性器があります。そのため、どこが悪くて痛いのかわからず、婦人科にかかるべきか、内科にかかるべきか迷うこともあるでしょう。
 ひとつの目安として、女性器に原因がある場合は、おりものの異常や不正出血を伴うことがあります。下腹部痛以外にこうした症状があれば、婦人科にかかりましょう。

婦人科の病気が原因の下腹部痛
 婦人科系の原因に絞っていうと、月経開始から14日前後に下腹部がシクシク痛むなら、排卵に伴う腹痛が考えられます。
 月経中の下腹部痛といえば月経痛ですが、だんだん痛みが強くなり、月経の量も増えてくる場合は子宮筋腫や子宮内膜症の疑いがあります。子宮内膜症が進むと、セックスのときや排便時にも下腹部痛がすることがあります。
 発熱を伴い急激に悪化する痛みは、子宮付属器炎や骨盤腹膜炎が疑われます。また、左右どちらかの下腹部が突然激しく痛む場合は卵巣嚢腫の茎捻転、月経が遅れていて激痛があるときは流産や子宮外妊娠の疑いがあり、どちらも緊急を要します。

婦人科の病気以外の下腹部痛
 下痢や嘔吐を伴う急性の下腹部痛は、急性腸炎が疑われます。下痢や嘔吐もないのに下腹部が痛むときは、便秘のことが少なくありません。
 やたらとトイレが近くなり、排尿時、特に排尿の終わり頃に「シクン」とした痛みがあり、残尿感を伴う場合は膀胱炎が疑われます。腰から下腹部にかけての強い痛みと、血尿があるときは、尿路結石の可能性があります。右の下腹部が痛む場合は虫垂炎が疑われます。いずれも内科での検査が必要ですから、こうした症状があったら、早めに内科にかかりましょう。

おっぱいの痛みやしこり、形が気になる

月経周期に左右され、引っ張ったり痛む
毎月、月経の前になると乳房が張って、痛みを感じることもありますが、これは女性ホルモンの影響によるものです。また、ピルを飲んでいたり、更年期障害でHRT(ホルモンン補充療法)を受けている場合も、一時的に乳房が張ることがあります。ほかに、乳頭から細菌が感染して急性化膿性乳腺炎を起こすと、乳房が激しく痛むことがあります。

乳房のしこりには良性と悪性が
乳房は、直接見たり、触ったりできるので、比較的トラブルを見つけすい器官といえます。
乳房にしこりを触れる場合、最も多いのが乳腺症で、乳腺線維腺腫、乳がんと続きます。乳腺症は、左右、または片方の乳房にしこりや痛みを感じ、乳頭から少量の分泌物が出ることもあります。月経前になるとしこりが大きくなり痛みも強くなりますが、月経が始まるとこうした症状が弱まります。
 乳腺線維腺腫は、小豆大からうずらの卵よりやや大きい程度のしこりが1〜3個でき、触ると動きます。乳腺症も乳腺線維腺腫も良性の腫瘍で心配はありませんが、乳がんとの判別が大切です。
 乳がんは8割程が腫瘤を形成するタイプで、全体の3割は自己検診で発見されています。年に1回は乳がん検診を受け、月に1回は自己検診を行い、早期発見につとめましょう。
 自己検診するときは、今までになかったしこりやへこみはないか、左右の大きさが極端に違っていないか、乳頭から浸出液のような液体や血液が出ないかなども一緒にチェックします。

気になる症状があれば受診を
 おっぱいにしこりを見つけたり、形が変わったなど、気になる症状があったら、早めに受診してください。
 受診は、婦人科でもよいですが、望ましいのは乳房を専門で診る乳腺外科です。最近は総合病院などで乳腺外来を設けたり、乳腺専門の医師が開業するクリニックも増えてきました。最寄に乳腺専門の病院がなければ、マンモグラフィー検査ができる外科でもよいでしょう。

乳房の大きさや形、乳輪や乳頭の色や大きさには個性があるため、見てくれを気にする人もいるようです。でも、形や大きさよりも、ちゃんと乳腺が発達していることのほうが大切。気にしないことです。


立ちくらみ

自律神経のバランスの乱れが原因
 急に立ち上がったとき、フラッとするのが、立ちくらみです。急に立ち上がると、からだを循環していた血液が下半身に集まりますが、ふうつは自律神経の作用によって下半身の血管を縮めて血液を押し上げ上半身の血液を保ちます。
 しかし、自律神経のバランスが未熟な思春期の頃、次は自律神経のバランスが乱れる更年期の頃です。これ以外でも、疲れたときやストレスがたまったときなど、自律神経のバランスがくずれると起こりやすくなります。
 ほかに、ダイエットなどによってホルモンバランスが乱れても自律神経に影響を及ぼし、立ちくらみになりやすいので注意しましょう。
 また下半身の筋力が弱い人も、血液を押し上げる力が不足するため、立ちくらみしやすいといえます。

適度な運動で予防を
 立ちくらみの予防には、適度な運動を続け、血液の循環をよくして体力をつけることが大切です。軽い屈伸運動や腹筋、ウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。
 また、ふだんから立ちくらみになりやすい人は、なるべくゆっくり立ち上がる習慣をつけましょう。立ちくらみがしたときは何かにつかまり、倒れないようにします。ふらつきが治まらないときは頭を少し高くして、しばらく横になりましょう。
 なお、立ちくらみには、血液中のヘモグロビン減少による貧血や低血圧症など、病的な原因が隠れていることもあります。しょっちゅう立ちくらみが起こる人は、一度内科で診てもらうようにしましょう。

月経中にふらつく場合は過多月経による貧血の可能性があります。婦人科で貧血の有無をチェックして、必要なら治療を受けましょう。


むくみ
大半は生理的なむくみ
 むくみ(浮腫)とは、血液中の体液が血管の外の皮下組織に水分としてたまった状態をいいます。
 睡眠不足や、前の夜に水分をとりすぎたときに顔がむくんだり、立ちっぱなしでいたときに足がむくむことがありますが、いずれも心配のないむくみで時間が経てば解消します。また、妊娠すると水分の代謝が悪くなるためむくみやすく、むくみは妊娠中毒症の典型的な症状でもあります。
 ほかに女性特有のむくみといえば、月経前のむくみです。月経前になると、いつもはいているスカートやズボンがきつくなる、靴がきつい、朝起きると顔がむくんでいるといった経験のある人は多いと思いますが、これは、月経前に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)に水分を貯留させるはたらきがあるためです。月経がん月経が始まりプロゲステロンの分泌が減ると解消します。

海外旅行などで飛行機に長時間乗ったときも、気圧の変化によりむくみます。着陸後に靴が入らなくなることもあるので、スニーカーなど大きさを調節できる靴を準備しておくとよいでしょう。

 月経前のむくみがあまりひどいようなら、水分の代謝を促す漢方薬もありますから、婦人科に相談してみましょう。
 日常的なむくみの予防は、立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間同じ姿勢を続けない、寝る前に水分をとりすぎないこと。足を高くして寝るのも効果的です。むくんでしまったなら、軽くストレッチしたり、マッサージするとよいでしょう。

原因不明のむくみは受診を
 むくんでいるかどうかは、足のすねを押してみるとわかります。ふつうはすぐに戻りますが、押した部分がひっこんで戻らないなら、むくんでいます。また、指輪のあとがとれない、明らかにまぶたが腫れているときもむくんでいます。
 むくみはからだに異常が起こっているサインであることもあり、特にむくみの原因が思いあたらないのにむくんでいる場合は、心臓、腎臓、肝臓などに病気がある場合があります。時間とともにむくみがひどくなったり、なかなかむくみがとれない場合は、内科に相談しましょう。


肩こり
女性は、肩こりになりやすい
頭を支えているのは頚椎や首、肩の周辺の筋肉ですが、不自然な姿勢を続けることによって、首の後ろから肩にかけた僧帽筋が緊張して血流が悪くなり、筋肉に疲労物質がたまります。すると肩や首のあたりに重苦しさや痛みを感じます。これが肩こりです。
 肩こりが男性よりも女性に多いのは、筋肉の量が少ないためです。日常生活では、長時間パソコンの画面を見たり、同じ姿勢で料理を作る、赤ちゃんがいる人では授乳や抱っこで肩こりになることもあります。

ストレッチで肩こりの予防を
肩こりの対策は、長時間同じ姿勢を続けないで、1時間に一度は軽く首や肩を回したり、右ページのようなストレッチを、気持ちいいと感じる程度くり返すとよいでしょう。蒸しタオルで肩を温めるのも効果的です。また、ビタミンEの多い食品は、血液の流れをよくするのでおすすめです。
 ただし、ただの肩こりだと思っていたら、肩関節周囲炎や変形性頚椎症ということもあるので、あまりしつこいようなら、整形外科を受診しましょう。なお、鍼灸治療を行っている病医院では、温灸や鍼を用いた治療を行うこともあります。

眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていないことが肩こりの原因になることもあります。急に肩こりがひどくなったときは、一度眼科でチェックを受けてみましょう。

肩こりをほぐすストレッチ
@両手を組み、手のひらを上に向けてうえに引き上げる。5秒伸ばして力を抜く。
A後ろで手を組み、胸を大きく開くつもりで、手を斜め下に引く。肩甲骨が重なる感じで、鎖骨から胸周辺の筋肉をほぐす。
B両手を組んで腕を前に伸ばし、息を吐きながら肩甲骨の間を大きく開く感じで背中を丸める。

@右手を後ろに回して力を抜き、両手で右ひじをつかみ、ゆっくり左下に傾ける。反対側も。
A右腕のひじをまっすぐにし、胸の高さにして左へ伸ばす。次に、左腕を挟み込むようにし、手前に10秒引き寄せる。反対側の腕も同様に。


からだの冷え
自律神経の乱れで冷え性になる
私たちのからだは、外気の温度が上がれば血管を広げて血液の流れをよくし、体内の熱を外に発散しながら平熱を保ちます。逆に寒いときは血管を収縮させて体内の熱を外に出さないようにします。これをコントロールしているのが自律神経です。この自律神経が乱れると血管の拡張や収縮の調節がうまくゆかなくなり、血液循環が悪くなり、からだが冷えてきます。
 特に手足の先が冷えやすいのは、末梢にいくほど血管が細くなるため、なおさら循環が悪くなるからです。自律神経の乱れを起こす要因にはストレスや女性ホルモンのバランスのくずれをはじめ、さまざまなものがあります。
 また喫煙やダイエット、運動不足、偏った食生活などによって血液の流れが悪くなるための冷えもあります。日ごろからストレスをためないこと、適度な運動とバランスのよい食生活を心がけましょう。

夏はクーラーによる冷えに注意しましょう。オフィスなどで長時間クーラーにあたるときは、長袖の上着をはおったり、靴下を重ねるなどの工夫を。

冷え性の対策
入浴
ぬるめのお湯にゆっくりつかると効果的。胸から下の半身浴のつもりで。38〜40℃のお湯に、10〜15分を目安に。

運動やストレッチ
ウォーキング、エアロビクス、ストレッチなどの運動で筋肉を動かすと、血行がよくなり、からだが温まる。

温かい食べ物
冬は根菜をふんだんに使ったスープや鍋料理を。夏でもからだが冷えやすい人は、冷たい食べ物や飲み物を控える。

重ね着
薄手の衣類を重ね着すれは、からだの冷え具合で調節できる。冷えやすい下半身はパンツを重ねたり、靴下を1枚重ねても。

冷えを予防する食べ物も効果的
冷えの予防に効果がある栄養素はビタミンEとビタミンCです。ビタミンEは、血行をよくし、ホルモン分泌を調節する働きがあります。
ビタミンCha血液の主要な材料となる鉄分の吸収を促進死、毛細血管の機能を保持する働きがあります。
 ただし、糖尿病や膠原病などが原因による病的な冷えもありますから、冷えが続くようなら内科を受診しましょう。

トイレが近い(頻尿)
女性は男性よりトイレが近い
一般的に、男性より女性のほうが排尿回数は多いといえます。これは男性の尿道が約20cmあるのに対して女性は約4cmと短いため、男性ほど暴行にたまった尿をためておくことができないためです。
 また、コーヒーや紅茶、緑茶を飲んだあと、すぐにトイレに行きたくなることがありますが、これはコーヒーや緑茶に含まれるカフェインに利尿作用があるためです。
 ほかに、急に冷えたり緊張したときに何回もトイレに行きたくなるのは、腎臓の血流が増えて、尿の量が増えるためです。
 妊娠すると頻尿になるのは、大きくなった子宮が膀胱を圧迫するためです。また、子宮筋腫がある人は、筋腫が大きくなり、膀胱を圧迫することによって、頻尿になります。

ふつう、大量に水分をとったときは尿量が増えますが、毎日多尿が続くのは尿崩症などが原因のことも。この場合は泌尿器科を受診して、詳しい検査を受けましょう。


病的な頻尿もあるので注意を
一般に、一日に10回以上も排尿することを頻尿といいます。水分を多くとりすぎたときも頻尿になりますが、尿道口から大腸菌などの細菌が入り、膀胱炎になると、絶えず膀胱が刺激を受けるため、一回に出る尿量は少ないのに、何度もトイレに行きたくなります。ほかに、腎臓結石、膀胱腫瘍などでも頻尿になります。
 また、原因になる病気がないのに一回の尿量が少量で、排尿回数が1日に10回以上になる場合は、心因性頻尿が考えられます。これは、20〜30代の女性に多く、交通渋滞などトイレがない状況で強い症状が現われ、自宅でリラックスしているときには、それほど症状がないのが特徴です。この場合の治療は、心療内科か精神科になります。
 ほかに、成人女子の尿量が一日800〜1200mlで平均1000mlとされていますが、これに対して2500mlを超える尿がでることを多尿症といいます。


尿漏れ(尿失禁)
女性に多い腹圧性尿失禁
無意識に少量の尿がもれてしまうことを尿もれ(尿失禁)といいます。尿もれには、腹圧性、切迫性、反射性尿失禁など、いくつかのタイプがあります。女性の尿失禁の大半が、笑ったりくしゃみをしたりしておなかに力が入ったときに、思わずもれてしまう腹圧性尿失禁です。
 原因の多くは出産によって膣や尿道口の周囲を取り巻き、排尿時以外は尿が出ないように締める役割をしている骨盤底筋群が緩むために起こります。
一般的に、中年期以降になると起こりやすくなりますが、中には20〜30代から起こる人もいます。

骨盤底筋群を引き締める体操を
 尿もれの予防には、骨盤底筋群を引き締める体操(尿もれ体操が有効です。妊娠中から産後にかけてやっておくと、かなり尿もれが予防できます。
 これから出産を予定している人は、ぜひ試してください。すでに出産を経験し、軽い尿もれで悩んでいる人も右の方法で、一日2〜3回を1〜3ヵ月続けてください。骨盤底筋群が強化されて回復します。それでも尿もれするようなら、骨盤底の筋肉が大きくダメージを受けているために、膀胱や子宮が下がっているのかもしれません。婦人科を受診しましょう。
 
尿もれ体操
あお向けの姿勢で
@●ひざを閉じ、足先を開いて
あお向けになり、ひざの間にタオルを挟んで、おしりの筋肉を緩める。息を吐きながら膣や肛門のまわりの筋肉を締めたり、息を吸いながら緩めたりして骨盤底筋群を収縮させる。

A●足先を伸ばし、内ももとひざをくっつけて
@と同様の動きで肛門や膣のまわりの筋肉を緩める。足を閉じ、足先を伸ばすと内ももが密着するので、骨盤底筋群を緩めた感覚が意識しやすくなる。

B●足の裏を合わせ、ひざを開いて
ひざを開く角度は、床から背中が離れない程度。ひざを外側に大きく開くと、肛門のまわりの筋肉を楽に締めることができる。足の裏を合わせ、@Aと同様に膣や肛門のまわりの筋肉を締める。会陰のあたりに手をあてると骨盤底筋群が締まる感じがよくわかる。

立った姿勢で
@●足をクロスして
片側の足を前に出したときに「ギュッ」と意識しながら肛門や膣のまわりの筋肉を締める。反対側も。

A●足を開いた姿勢で
足を肩幅に開き、ひざの力を軽く抜いて立つ。次にお尻の筋肉を締めたまま膣や肛門を締めたり緩めたりする。

下肢静脈瘤
下肢の静脈がうっ血する
立ちっぱなしの仕事のあとなどに、ふくらはぎのあたりにコブのようなものができることがあります。これが下肢静脈瘤です。下肢の静脈には、重力に逆らって血液を心臓に押し上げるための静脈弁が備わっています。しかし、長時間立ちっぱなしだったときや、体重の増加、妊娠などによって静脈弁の働きが悪くなり、静脈に血液がうっ血してしまうのです。

大きな静脈瘤は専門家に受診を
ふつうは、下肢静脈瘤ができても日常生活にはほとんど差し障りありません。しかし、足がだるい、むくみやすいという場合は、立ちっぱなしの仕事は避けて、弾性ストッキングを着用することで、ある程度症状が和らぎます。
 ただし、大きな静脈瘤ができている場合は、放置すると血流障害を起こしたり、まれに静脈にできた血栓が血流に乗って肺に移動して血管が詰まり、緊急を要することもあります。
 気になるくらい大きな静脈瘤があるなら、一度外科か血管外科で、診てもらうとよいでしょう。


婦人科治療と漢方薬
体質によって処方が異なる

 漢方治療の考え方は、西洋医学のように症状を局所的にとらえるのではなく、全身のバランスの乱れとしてとらえ、その乱れを整えることで治療します。そのため漢方薬の処方の方法も、症状のほか、実証や虚証といって、その人の体質にあわせた薬を選んで処方します。これによって同じ症状でも、処方される薬が変わってきます。
 漢方薬に即効性はありませんが、体質に合えばよく効き、持続性もあります。婦人科領域では、月経痛や更年期障害の治療などでよく使われます。希望するなら、婦人科医に相談してみるとよいでしょう。
 ただし「漢方薬に副作用がない」と誤解している人がいますが、漢方薬も薬です。副作用のリスクはあります。医師の指示を守って、正しく服用するようにしましょう。


ニキビ
思春期にニキビができやすいわけ
 ニキビは、毛穴に皮脂や角質が詰まって脂肪のかたまりができ、それに細菌がついて炎症を起こしたもの。青春のシンボルといわれるほど思春期にできやすいのは、女性ホルモンとともに男性ホルモンの分泌が活発になり、皮脂の分泌が多くなるためです。
 一方、大人になってできるニキビは、ホルモンバランスの乱れ、寝不足、疲れ、月経不順、メイクを落とさない、オイルのつけすぎ、便秘などが原因になることが多くあります。
 治りにくい、月経のときにひどくなるという人は男性ホルモンが優位な場合が多く、婦人科に行くと卵巣に嚢胞(袋)がいっぱいできる多嚢胞性卵巣症候群と診断されるケースもあるので、場合によっては婦人科の受診も必要です。

いじらないで皮膚科を受診
ニキビができると、つい触ってつぶしたくなりますが、いじらないで皮膚科に行くことが大切です。洗顔方法を変えたり、できた部位に塗り薬をつけることで治ります。
 悪化すると、抗生物質などを飲んだり、ケミカルピーリングをする治療が必要になってきます。
 ケミカルピーリングとは、サリチル酸などで角層表面を溶かす方法です。毛穴の詰まりが取れるので、ニキビに有効なのです。
 ただケミカルピーリングをすると、角層が薄くなるので、ピーリング後は保湿・遮光に注意して過ごすようにします。

予防も治療も洗顔が基本
 ニキビを防ぐためにも、治すためにも、洗顔が基本になります。一日2回くらい、ぬるま湯を使って石けんを泡立てて洗いましょう。脂分をとりすぎると、よけいに脂分がでてくるのでゴシゴシ洗わないように。しっかりすすいで、石けんの成分を残さないように気をつけて。
 洗ったあとはローションをつけましょう。乳液をつけるかどうかは、肌の状態に合わせます。オイルをつけるのは、よくありません。メイクは薄めにして、早めにクレンジング料で落とすことが大切です。
 食べ物にもきをつけましょう。栄養バランスを考えた食事をするように。ビタミン不足や刺激物のとりすぎは大敵です。また十分に睡眠をとることも、予防になります。

シミ
皮膚の色素沈着で起こる
皮膚のいちばん上をおおっている表皮は、厚さが約0.2mm。その表皮は4層になっていて、いちばん下の基底層にはメラノサイトという細胞があります。メラノサイトはメラニン色素をつくる細胞で、それが増えて、色素沈着が起こるとシミになります。
 シミには「老人性色素斑」「そばかす(雀卵斑)」「老人性イボ」などがあります。
 老人性色素斑は、主に紫外線を浴びることでつくられ、20歳でできても老人性色素斑といいます。また大人になってできるそばかすの多くは、細かい老人性色素斑ができたものです。
 20歳前後に、太田母斑と呼ばれる青あざ・茶あざが現われる人がいます。これは真皮にでき、遺伝性の強いものです。
 また妊娠・出産後、ひたいやほおに褐色のシミが左右対称にできることがあります。これは「肝斑」といい、女性ホルモンの影響でしょうじます。
 このほか、小さいホクロやニキビあとも「シミ」といっています。

レーザー光線などの治療が効果的
 老人性色素斑や太田母斑には、メラニン色素に吸収されるレーザー光線による治療が、効果があります。このレーザー光線は、そばかすにもある程度の効果があります。
 肝斑はハイドロキノなどの薬を塗ると、薄くなってきます。
 美白化粧品は、でき始めの老人性色素斑には効果があるかもしれませんが、めざましい効果は期待できません。
 サプリメントや野菜・果物などでビタミンCをとったり、ビタミンCの外用薬を使ったりするのは、ある程度美白効果があるようです。でも、ビタミンCを含むからといって、レモンやきゅうりのパックをするのは禁物です。これらは紫外線の吸収をよくするため、かえって逆効果になります。

予防は紫外線カットが最も有効
 シミのなかでも多く見られるのは、主に紫外線が原因の老人性色素斑。それを予防する何よりの方法は、紫外線をカッとすることです。 
 紫外線は、春から夏に最も強くなりますが、季節に関係なく、UVクリームをつけたり、UVに気をつけたメイクをしたり、帽子や日傘を使うなどして、紫外線を浴びないことが大切です。

湿疹・かぶれ
湿疹にはいろいろな種類がある
発疹ができたり、皮膚がカサカサしてかゆかったり、ジュクジュクするのを総称して湿疹といいます。原因によって「アトピー性皮膚炎」「脂漏性湿疹」「接触性皮膚炎」などに分けられます。
 脂漏性湿疹は、皮膚から分泌された脂によって起こる皮膚炎で、皮膚が赤くなったり、カサカサしたフケのようなものが出ます。接触性皮膚炎は、身のまわりのものに触れることで起こる湿疹。いわゆる「かぶれ」です。

「かぶれ」には2タイプがある
かぶれには、刺激性とアレルギー性があります。刺激性のかぶれは、強い刺激に触れて、誰でもなるようなものをいいます。
 アレルギー性のかぶれは、特定の人がなり、例えば美容師さんなどで、決まった薬品などを何度もくり返して使ううちに、発疹ができたような場合に考えられます。

まず原因物質を見つけて、避ける
湿疹の症状が出たとき、かゆいからとかいたり、自己判断で薬を使ったりしないこと。何もせずに皮膚科を受診したほうが、早く治ります。皮膚科では、かぶれの原因になっている物質がわからないときは、パッチテストをします。これは、皮膚に金属や植物など原因と思われるものの成分を貼り、時間経過とともに反応があるかどうかをみて、原因物室を特定する方法です。
 原因物質がわかったら、それを使わないのが第一の治療法にあります。炎症がひどい場合は、ステロイド薬を使います。
 湿疹は原因がわかれば完治できる病気です。医師の指示どおりに薬を外用しないと、いたずらに長引くことになるので、きちんと使いましょう。

かぶれの原因になるもの
化粧品類
毛染め液、パーマ液、基礎化粧品、メイク用品、リップクリームなど。

石けん、洗剤類
石けん、シャンプー、リンス、家庭用洗剤、防臭剤、殺菌剤など。

アクセサリー類
ネックレス、ピアス、イヤリング、指輪、時計、めがねなど。

衣類
洋服、下着、靴下、手袋、帽子、タグ、洗剤の残りなど。

その他
生理用ナプキン、薬、寝具、植物、漆器、醤油、みそなど。


アトピー性皮膚炎

大人はストレスが原因になることも
アトピー性皮膚炎は、かゆみが強く、皮膚がカサカサしたり、発疹ができたところがザラザラして厚くなる、アレルギー性の皮膚炎です。
 原因は、体質が影響しているといわれますが、なぜ症状が出るのかはわかっていません。子どものころから続いている人や、大人になってはじめてなる人もいます。
 大人になってからなる場合、強いストレスがかかって発症する人もいます。そうしたケースの人が、仕事や生活の仕方を調整して治療を続けてら良くなったということがあります。
 ですから、