重症筋無力症と漢方薬
特集:重症筋無力症 = 神経疾患、末梢神経障害 = 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能
重症筋無力症② (神経疾患、末梢神経障害)
重症筋無力症は,抗体性および細胞性のアセチルコリン受容体破壊により,反復発作性の筋力低下および易疲労感を示す自己免疫障害である。
若年女性および高齢男性に多いが,あらゆる年齢に起こりうる。症状は筋肉活動により悪化し,安静により軽減する。
エドロホニウム静注試験で,筋力低下が短時間軽減された場合に本疾患と診断される。
治療には,抗コリンエステラーゼ薬,免疫抑制薬,コルチコステロイド,胸腺摘出術,プラスマフェレーシスなどがある
重症筋無力症は,シナプス後アセチルコリン受容体に対する自己免疫攻撃により,神経筋伝達が破綻することで生じる。
自己抗体産生の引き金は不明だが,胸腺の異常,甲状腺中毒症,およびその他の自己免疫障害を伴う。
筋無力症における胸腺の役割は不明であるが,65%の患者に胸腺肥大が,10%に胸腺腫が認められる。
増悪因子として,感染症,手術,ある種の薬物(例,アミノ配糖体系薬物,キニーネ,硫酸Mg,プロカインアミド,Ca拮抗薬)などが挙げられる。
重症筋無力症のまれな病型
眼筋型の重症筋無力症では,外眼筋のみが侵される。
先天性筋無力症は,小児期に始まるまれな常染色体劣性遺伝疾患であり,
自己免疫障害ではなく,シナプス後受容体の構造的異常により生じる。眼筋麻痺がよくみられる。
新生児筋無力症は,重症筋無力症の女性が産んだ乳児の12%にみられる。
これは,胎盤を通って受動的に移行したIgG抗体に起因している。
全身の筋力低下が生じるが,抗体価が減少するにつれて数日から数週間のうちに消退する。
したがって,治療は通常支持的に行う。
重症筋無力症の症状と徴候
最も多い症状は,眼瞼下垂,複視,および運動後の筋力低下である。
筋肉を休ませると筋力低下は解消するが,再び筋肉を使うと再発する。
最初は40%,最終的には85%の患者で眼筋が侵される。
眼症状の後,全身性の筋無力症が発現する場合には,通常最初の3年以内に現れる。
近位肢の筋力低下が一般的である。
球症状(例,声の変化,鼻への逆流,むせ,嚥下困難)を訴えて受診する例もある。
感覚および深部腱反射は正常である。
数時間から数日の間に病状が強まったり弱まったりする。
筋無力症クリーゼ
重度の全身性四肢不全麻痺または生命を脅かす呼吸筋力低下であり,約10%の患者に起こる。
これは,免疫系を再活性化させる感染症の併発によりしばしば生じる。
呼吸機能が十分に働かなくなってくると,急速に呼吸不全を来すことがある。
重症筋無力症の診断
症状および徴候から診断が示唆され,検査により診断を確定する。
明らかな筋力低下のみられない筋無力症患者でも,ほとんどが短時間作用型(5分未満)
エドロホニウムを用いた抗コリンエステラーゼ検査で陽性を示す。
検査は,明らかな筋力低下を示す筋で行う。患者に対し,疲労が生じるまで罹患筋を使うように指示し
(例,眼瞼下垂が生じるまで両眼を開けたままでいる,または不明瞭言語が生じるまで大声で数を数える),
その後,エドロホニウム2mgを静注する。30秒以内に有害反応(例,徐脈,房室ブロック)が生じなければ,さらに8mgを投与する。
筋機能が速やかに(2分未満)回復した場合は陽性である。
しかしながら,こうした改善は他の神経筋障害でもみられるため,陽性結果は重症筋無力症を決定づけるものではない。
この検査によりコリン作動性クリーゼが悪化し,筋力低下が生じることもある。
検査の際には,心肺蘇生装置およびアトロピン(解毒薬として)を用意しておく必要がある。
抗コリンエステラーゼ検査が明らかに陽性であっても,確定診断には血清中抗アセチルコリン受容体抗体濃度,
筋電図検査(EMG),またはその両方が必要である。
抗体は,全身性筋無力症患者の90%に認められるが,眼筋型では50%にしかみられない。
抗体濃度と疾患重症度との間に相関性はない。
反復刺激(2〜3/秒)を用いたEMGでは,60%の患者で複合筋活動電位反応の振幅が大きく減少する。
単線維EMGではその値が95%以上向上する。
筋無力症と診断された場合には,胸郭のCTまたはMRIを実施し,胸腺腫の有無を確認すべきである。
重症筋無力症に関連して高頻度にみられる自己免疫障害(例,ビタミンB12欠乏症,甲状腺機能亢進症,RA,SLE)
のスクリーニングのために,他の検査も実施する。
ベッドサイドの肺機能検査(例,努力肺活量)は,切迫呼吸不全の検出に有用である。
筋無力症クリーゼの患者については,引き金となった感染の有無を評価することが必要である。
重症筋無力症の治療 = 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能
呼吸不全の患者には,挿管および機械的換気が必要である。
抗コリンエステラーゼ薬およびプラスマフェレーシスは症状を緩和する;
コルチコステロイド,免疫抑制薬,および胸腺摘出術は,自己免疫応答の重症度を軽減する。
先天性筋無力症患者には,抗コリンエステラーゼ薬および免疫調節治療は効果がないため,避けるべきである。
重症筋無力症の対症療法 = 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能
抗コリンエステラーゼ薬は対症療法の主力であるが,基礎にある疾患プロセスを変化させるわけではない。
さらに,全ての症状が軽減することはまれであり,これらの薬に対して筋無力症が不応性を示すようになることがある。
最初はピリドスチグミンを30〜60mg,経口にて3〜4時間毎に投与し,症状に応じて最大180mg/回まで増量する。
とりわけ朝に重度の嚥下困難を来す患者は,夜に長時間作用型180mgカプセルを服用させるのもよいが,
こうしたカプセルは次第に効かなくなる傾向がある。
非経口療法が必要な場合には(例,嚥下困難のため),ネオスチグミン(1mg=ピリドスチグミン60mg)で代用してもよい。
抗コリンエステラーゼ薬により腹部痙攣および下痢が生じることがあるが,
これには経口アトロピン0.4〜0.6mgまたはプロパンテリン15mg,1日3〜4回を投与する。
コリン作動性クリーゼは,過量のネオスチグミンまたはピリドスチグミン投与により生じる筋力低下である。
軽度のクリーゼは,筋無力症の悪化との鑑別が困難なことがある。
通常,重度のコリン作動性クリーゼでは,過度の流涙,流涎,頻脈,および下痢が生じるが,重症筋無力症ではこうした症状は起こらない。
これまで治療が奏効してきた患者の増悪に対するアプローチについては異論が多い。
筋無力症クリーゼの場合のみ筋力が改善するという理由で,エドロホニウム試験が有用と考える専門家もいる。
単に呼吸補助を開始し,数日間抗コリンエステラーゼ薬を中止してみることを勧める専門家もいる。
免疫調節治療 = 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能
免疫抑制薬は自己免疫応答を阻害し,疾患の経過を遅らせるものの,症状を速やかに軽減するものではない。
静注免疫グロブリン400mg/kg,1日1回を5日間続けると,70%の患者は1〜2週間で改善する。効果は1〜2カ月持続することもある。
多くの患者には,維持療法としてコルチコステロイドが必要だが,筋無力症クリーゼに対する迅速な効果はあまりない。
半数以上の患者は,高用量コルチコステロイド開始後に急激な悪化を示す。
最初はプレドニゾン20mgを経口にて1日1回投与し,2〜3日毎に5mgの割合で最大60〜70mgまで増量した後,
1日おきに投与する。改善には数カ月を要することがある;その後は最低必要量まで減量すべきである。
= 調合漢方薬服用可能、鍼灸治療併用可能
アザチオプリン2.5〜3.5mg/kg,1日1回の経口投与はコルチコステロイドと同様に有効な場合があるが,
何カ月も続けても大きな効果が得られない場合もある。
シクロスポリン2〜2.5mg/kg,1日2回の経口投与により,コルチコステロイドの用量を低減できることがある。
これらの薬物については,通常通りの注意が必要である。
その他有効かもしれない薬物として,メトトレキサート,シクロホスファミド,ミコフェノール酸モフェチルなどがある。
胸腺摘出術は,60歳未満の大部分の全身性筋無力症患者にとって選択肢の1つであり,
胸腺腫を有する全ての患者に対して実施すべきである。
術後は80%の患者が寛解するか,または維持療法における用量低減が可能である。
筋無力症クリーゼ時および難治性患者の胸腺摘出術前には,プラスマフェレーシスが有用なことがある
大山宗伯東洋医学記念館鍼灸治療室 (東洋医学、漢方薬、鍼灸、臨床心理学)
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東洋医学(漢方薬・鍼灸)専門 大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)では、
現在、西洋医学単独では手が届かず、充分な成果が期待できなかった疾患領域(難病)に対して、
東洋医学(漢方薬・鍼灸)・自然療法・補完代替療法の力を活用して効果を上げていく、
統合医薬学、統合療法が、大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)の特色になっています。
大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)の実践する統合療法の目的は、
東西の英知(過去から現代までの医学薬学医療情報=漢方薬・鍼灸の古典、成書、漢方湯剤の使用経験、現代の臨床経験、補完代替療法の臨床経験)
を集めて、最も有効と考えられる東洋医学(漢方薬・鍼灸)、自然療法、補完代替療法を提供することです。
大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)では、
神経疼痛(慢性疼痛・痛覚過敏状態・線維筋痛症・神経障害性疼痛)や脳血管障害後遺症、重症筋無力症などの神経変性疾患(神経難病)、
関節リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病、気管支喘息などの慢性呼吸器疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病、アトピー性皮膚炎など自己免疫疾患、
尋常性乾癬の患者さんの症状が安定しない方々、更年期障害や不妊症のような女性特有の病気などの患者さんに対して
西洋医学的治療だけでは充分な回復が得られない方々からのご相談をお受け致しております。
また、高齢者の認知症や歩行困難、肺炎、冷え、しびれ、排尿障害など年齢と共に増えてくる病気の患者さんのご相談もお受け致します。
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そこで、大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)へのご相談が多い疾患、調合漢方薬、鍼灸、経絡ツボ療法で、効果を上げている疾患をいくつかご紹介します。
①認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)、パーキンソン病、てんかん)
特に、認知症、てんかんの患者さんに伴う精神症状の改善、QOL(生活の質)の向上に効果を上げています。
高齢者の認知症では、物忘れの他に精神的に不安定になる、物を取られたなどの妄想が生じる、
あるはずのない物が見えて怯える、など様々な異常な精神症状が発症して患者さんの家族の負担が大きくなります。
この様な患者さんに、大山漢方堂薬局の調合漢方薬(著書:脳を守る漢方薬で、ご紹介)が極めて有効であります。
また、神経変性疾患などの神経難病の患者さんに、よくみられる、頭痛、しびれ、めまい、などの症候に、大山漢方堂薬局の調合漢方薬、
「呉茱萸湯、五苓湯、牛車腎気丸、疎経活血湯、苓桂朮甘湯、釣藤散、続命湯、冠心二号方、芍薬甘草附子湯、桂姜棗草黄辛附湯、
同種加減方、他応用処方」が有効であります。 愁訴に苦しむ患者さんに有益です。
②脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)後遺症
特に、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)後遺症や神経難病に伴う嚥下障害に効果を上げています。
脳血管障害やパーキンソン病などの神経変性疾患では物が美味く食べられない「嚥下障害」が生じやすく、それによって肺炎を起こしたり胃瘻を作ることがあります。
この様な患者さんに、大山漢方堂薬局の調合漢方薬、「半夏厚朴湯合伏令飲加減方、他応用処方」や鍼灸経絡ツボ療法(太谿、足三里、他応用穴)への施術が有効であります。
③慢性呼吸器疾患(Chronic Respiratory Disease,
CRD)
=慢性閉塞性肺疾患(COPD)肺気腫、喘息、過敏性肺炎、肺ガン、肺小細胞癌、肺線維症、慢性胸膜疾患、塵肺、肺好酸球増多症、肺塞栓症、サルコイドーシス、睡眠無呼吸症候群
肺性心、気管支拡張症などの急性増悪の予防、慢性呼吸器疾患では、風邪などの急性気道感染をきっかけに病状が増悪し、その繰り返しで次第に身体が弱っていきますが、
この様な患者さんに、大山漢方堂薬局の調合漢方薬、「医王湯加減方、他応用処方」が有効であります。
こうした患者さんの風邪を引く回数、急性増悪の回数を減らしています。 続く、
Sun R&D Institute for Natural Medicines Co.,Inc.
President & Chairman
Meister of Medical Science
Dr. YASUHIRO KOMATSU (Ph.D)
2016 小松靖弘先生 近影
大山漢方堂薬局 大山鍼灸院 大山宗伯東洋医学記念館 顧問
サン自然薬研究所長 順天堂大学医学博士 小松靖弘先生 ご紹介
大山宗伯東洋医学記念館鍼灸治療室 (東洋医学、漢方薬、鍼灸、臨床心理学)
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2015. 4 ~
大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)統括主幹
岡山大学医学博士(分子細胞医学 神経情報学、脳代謝 機能生化学)
徳島大学薬学修士(医療生命薬学 製薬化学 生物薬品化学)
大山博行 Dr. HIROYUKI OHYAMA,Ph.D.
大ベストセラー 光文社・カッパブックス
認知症・アルツハイマーは、もう怖くない 「脳を守る漢方薬」 岡山大学 医学博士 大山博行 著
cf.
大山博行(おおやまひろゆき)
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).
研究業績
岡山大学医学博士(分子細胞医学) 徳島大学薬学修士(生物薬品化学)
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D)
Depertment of Neurochemistry, Institute for
Neurobiology,
Okayama University Medical School
( Director : Professor Akitane Mori )
March 28, 1995
Free Radicals in Brain Physiology and Disorders
An International Conference
Held in Celebration of the Retirement of
Professor Akitane Mori
August 4 and 5, 1995
International Convention Center PAMIR,
Tokyo, Japan
大山宗伯東洋医学記念館 展示品
大山漢方堂薬局 所蔵 漢方医の薬箱(江戸時代の往診用薬箱)
(注) 写真をクリックすると、詳細が見られます。
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(薬味箪笥、往診用薬箱、薬研、薬看板、量り、上皿天秤、化学天秤(大正期クールマンウルトラ天秤)、経絡人形、鍼箱、灸箱、他)
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特集③:不老長寿と漢方薬
1.不老長寿の漢方薬
「瓊」の字は『玉篇』を見ると、「美玉」、「赤玉」と記録されている。
また「瓊」を用いた単語としては「瓊樓(王の宮殿の意)」、「瓊杯(玉で作った杯の意)」がある。
「瓊」の字は最上の美と大切の意味ををしている。昔から最高の美しい碧玉を表現する際に「瓊玉」の字が使われた。
また「瓊枝玉葉」という言葉があるが、これは皇族の子孫のことである。かつて、皇帝に献上する貴重品を至宝の玉という意味を持たせるために、
「瓊玉」と表現したこともあった。「膏」は「なめらかな味の良いもの」の意味もある。これにより「瓊玉膏」という名称は、薬の中でも最高の称号であることがわかる。
瓊玉膏は皇帝の長寿のための補助薬として、応急薬の牛黄清心元と共に、皇室の2大名薬に数えられた。
元の皇帝であるクビライ・カーンは、健康と精力のために好んで飲み、皇室の女子らと名門家の貴婦人達も美容のために瓊玉膏を愛用した。
このように顔を玉のように手入れをするために服用したとの意味で瓊玉膏と名づけられてといわれている。
瓊玉膏は南宋の医師である洪遵が編纂した『洪氏経験方』(1170年)に収載され、その内容をみると「人参」が「新羅人参」という名称で記載されている。
これにより朝鮮の高麗人参が既に世界的薬剤として名声を得ていることが分かる。
瓊玉膏は東洋の名薬として東アジアの国々が製造したが世界的品質の高麗人参で製造した瓊玉膏が最優秀品質だと評価されている。
2.不老長寿と生活習慣病 生活習慣病に効果的な漢方薬
成人病は加齢の病変であり、病勢の進行を止めることはできないとされてきたが、
現在では生活習慣病と称される成人病の過半数が、生活習慣を変えることにより、病気を確実に予防ができることから『健康日本21』が厚生労働省により策定された。
生活習慣病予防としては、健康と栄養を考えた食生活、運動を通じた肥満、動脈硬化、高血圧症、脳出血などの循環器病病の防止、
睡眠によるストレス緩和と休養、節煙および禁煙による心臓病のリスクの低減、適度なアルコール摂取による心身のリラクゼーション
、歯の健康、糖尿病予防、そして癌の早期発見などが挙げられている。以上をみると、
いずれにしても、生活習慣を通じた予防が求められる。結局、自然との親和する生活を意味している。
癌(Cancer)
癌は手足の爪、毛髪をのぞく、身体中どこにでも発生する恐怖の疾病である。
世界人口の約1/4が癌によって死亡している。また勧告の死亡原因の1位が癌による死亡であり、
毎年7~8万人が癌により死亡している上、癌患者は毎年増加している。
治療中の患者が10余万人で、新しく発生する患者数も10余万人に達すると専門家達は推測している。
20世紀にめざましい発展をとげた現代医薬であるが、癌は今も難攻不落で、
癌退治のために医、薬、生物学者たちは、昼夜兼行で研究している。
1.癌の正体は何か
癌は正常細胞が何らかの原因で突然変異を起こし、発生する。
1)癌は60兆に達する正常細胞の中、
最初はひとつの細胞が突然変異を起こし、発生する。(Initiation Promotion)
2)突然変異細胞は細胞死滅がなく、無限に増殖する。
3)癌細胞は多くの栄養分を要求し、無秩序に正常細胞へ機能障害を与える。
4)癌細胞は不可逆的で、正常細胞に戻ることなく、全臓器に転移拡大する。
5)増殖速度が非常に早い。
6)癌は始めに発生する原発巣癌と、転移癌がある。
原発巣癌は早期に発見すれば手術や薬物治療により治癒できるが、
転移癌は全身に転移するため、免疫が低下し急速に増殖速度を増す。
7)難治病である。
ヒトは誰でもオンコジーン(Oncogene)という不活性の癌因子を持っている。
ヒトが身体的、あるいは精神的ストレスを継続的に受け、刺激が累積すると、
不活性Oncogeneが活性化されて癌を誘発するとの学説がある。
Oncogeneを活性化する条件は日常生活習慣が鍵になっていると言える。
即ち、環境汚染、疲労、過度な紫外線及び放射線の照射、または累積されたストレス等により、
呼吸代謝で発生した活性酸素が体内に蓄積されることによって、免疫力が低下して正常細胞が破壊され、
Oncogene
の活性と共に細胞の突然変異が起こるとみられている。
この突然変異は慢性的刺激(promoter)と変異源(initiater)によって起こる。
慢性刺激実験のひとつの例を挙げると、ウサギの耳の毛を削り、皮膚をコールタールで擦ることを繰り返すと、
皮膚に傷ができて出血し、皮膚や肉がふくれ、修復増殖作用が起こる。
このような操作を1年間繰り返すと(動物の癌自然発生は1年以上の期間が必要)、
修復増殖作用により修復された皮膚および肉が突然石のように固くなる。
細胞に突然変異が起こって癌になる癌は、このような原因などにより、発生する。
この実験の通り、慢性刺激(promoter)が突然、変異源(mutagen)になって癌になるのがわかる。
2.癌の予防
癌は遺伝病であると言われてきた。
しかし、最近では生活習慣病であると考える方が説得力を得ている。
癌の遺伝性は結果で、原因は生活習慣にあると考えるのである。
人類の進化は遺伝子の変化からではなく、環境に適応するために体質の変化から進化している。
癌を予防するには、まず癌が発生する原因を知ることが望ましい。
癌を誘発する変異源の原因は何かを考えてみよう。
進化と人体質変化
人体遺伝子は30億構成→蛋白質生産
人間遺伝子は不変化
環境による人間体質変化
遺伝子校正体質50%-環境50%
癌の発生原因となる放射線、紫外線、ブレオマイシン(bleomycin),テトラサイクリン系の抗生剤、
農薬、除草剤、殺虫剤等が、植物や昆虫の細胞核遺伝子のDNAに、活性酸素(Free Radical)を発生させ、
DNAを溶解したり、破壊したりする。即ち、放射線、紫外線、抗生剤等が、
人を含めた動植物の細胞核に、大量の活性酸素(Free Radical)を発生させると、DNAが破壊されて死亡する。
段簿に散布した農薬が米や野菜に吸収されたり、ゴルフ場に散布される農薬や殺虫剤が雨と共に川へと流れたりすると、
その農薬や殺虫剤は川の石や砂によって浄化されるが、微量ずつ水道水に混入する。そのため日常生活の飲料水や食物を通じて、
我々の体に蓄積される際に、前述した通り、微量ずつ発生する活性酸素(Free Radical)によってDNAが損傷を受け、
遺伝子の伝達命令が少しずつ変化しながら、細胞の突然変異を起こし、癌を誘発すつ子とになる。
以上のような事実からみると、遺伝子変異の原因は、結果的に環境と生活習慣にあることがわかる。
癌の字を見てもよく理解できると思われるが、癌の字はやまいだれに、くち(口)が3つあり、その下に山の字がある。
癌の字を解析してみると、やまいだれの中の口のひとつは食物を食べる口、もうひとつは呼吸する口、
残りのひとつは目には見えない七情(ストレス)を感じる口で、下の山の字は自然を表している。
言い換えると、日常生活において自然から遠ざかり、汚染した空気や食べ物を食べ、ストレスを連続して受けることにより、
癌にかかると考えると、生活習慣の改善が癌の予防に役立つと思われる。
一般的に癌にかかるのは遺伝子によるものだと決めつけて言う人が多い。
しかし、人の遺伝子は30億個で構成されていると言われ、遺伝子が変化することは滅多にない。
もし簡単に変化する遺伝子であったとすれば、先祖から子孫へと遺伝子が伝わってくる間に、
癌にかかってしまい、今まで遺伝子を伝えてくることができなかったはずである。
癌は遺伝性のものではなく、生活習慣による体質変化が癌を誘発するため、予防できると主張する学者達が増えてきた。
したがって親が癌で亡くなったので、遺伝子の関係で自分も癌にかかるのではないかと心配する方がいるかもしれないが、
それは杞憂で、環境や生活習慣に気をつけていくのが大事なことであると、学者たちは言っている。
3.癌の転移と早期発見
ヒトの体には外部的に『ほくろ』あるいは内部的に子宮筋腫、脂肪腫等があるが、
これらはある程度成長すると停止して転移しないため、生命には支障がなく、良性腫瘍とよばれる。
一方、悪性腫瘍(癌)は正常細胞と異なる非正常的な分裂細胞で、ヒトの正常な新陳代謝とは無関係に早い速度で無限増殖し、
正常細胞が摂取するべき栄養分を、癌組織の増殖に比例して奪取するので、正常細胞は次第に栄養不足状態となり、癌組織の増殖は加速される。
なお重要なことは、初めに発生した癌組織を原発巣癌というが、この原発巣癌がseedとなり、癌細胞から解離及びリンパ離脱されて、
血管やリンパ管を通じてからだの各臓器に移転し、早い速度で新しい癌組織を新生拡大することを、癌の転移と言う。
この転移した癌細胞に対する治療法は、未だに困難である。
癌転移に対して、いくつかの過程(process)に分けて、特徴を解析してみると
1)原発巣の増成による周囲組織の融解と血管新生の誘引
2)原発巣からのseedの解離と離脱
3)seedの脈管(血管、リンパ管)への移動
4)seedの脈管内への侵入
5)seedと脈管内の体液成分(リンパ管、血糖タンパク)、細胞成分(リンパ球、マクロファージ、血小板)との相互作用
6)seedの標的臓器(soil)の脈管壁への付着と脈管外への浸出
7)seedによる標的臓器(soil)の組織融解
8)seedによる標的臓器(soil)内への侵入
9)seedによる標的臓器(soil)での血管新生の誘引
10)seedの標的臓器(soil)での増成
以上、癌転移の過程(process)を整理して説明したが、癌転移に最初の段階、癌細胞の腫瘍塊からの離脱に関与する
細胞間接着低下に関するカテニンタンパク群の研究、癌細胞の標的臓器への接着浸透過程、
Lance Liottaの提唱した血管リンパ管規定膜接着分解運動における3段階での分解に関与する
マトリックスメテロプロテアーゼの研究、seed and soil説に対する研究、癌のseedが臓器に安着した後の栄養補充のための
血管新生誘引の抑制等、部分的に活発な研究は行われているが、未だに確実な治療法は確立されていない。
4.癌の早期発見
癌は原発巣癌と転移癌とを区別しており、これらは癌の進行過程を表している。
上記で胆の発生原因を説明した通り、最初は1個の細胞から変異が起こり、潜在期を経て転移する以前までを、原発巣癌という。
この原発巣癌の潜伏期間は相当な期間がある。ただ症状がなく、本人が感じられないため、
長い期間、癌の成長を待ったまま生活しているのが一般的な癌患者たちの実態である。
この原発巣癌の段階で病院に行って検診を受け、癌を発見するのを癌の早期発見と言う。
癌を早期発見すると、手術や放射線療法、薬物治療などによって簡単に治療できる。
癌転移に対しては上記過程(process)で説明したように、全身の臓器に転移することにより免疫が急低下し、
急速に癌細胞が増殖するため、最先端の現代医療でも未だにほとんど治癒が不可能である。
そのため、検診を通じて早期発見するよう、医療機関では受診勧告を行っている。
この受診勧告を積極的に利用するのも、癌を予防する方法である。
5.がん予防の勧奨事項
1)次はがん予防医療機関におけるがん予防の勧奨事項を紹介する(大韓癌協会)
(1)偏食しないで栄養分はバランスよく摂取する
(2)緑黄色野菜を中心に果実や穀物など、繊維質を多く摂取する
(3)牛乳と、みそ、しょうゆを多く摂取する
(4)ビタミンA、C,Eを適切に摂取する
(5)適切な体重を維持するため、過食しないで、脂肪質を少量食べる
(6)あまりにも塩分の多いもの、あまりにも辛い食べ物を熱い食べ物を避ける
(7)かびがついたものや、腐敗した食べ物を避ける
(8)火で直接焼いたり、燻製にした肉類や魚介類は避ける
(9)酒は過飲したり、習慣的に飲んだりするのを避ける
(10)禁煙する
(11)太陽光線、特に紫外線に当たり過ぎることを避ける
(12)あせを流すほどの運動はよいが、運動し過ぎる事は避ける
(13)ストレスを避ける、嬉しい気持ちで生活する
(14)沐浴やシャワーを適度に、体は清潔にする
2)日本の公益財団法人癌研究振興財団では、生活において、
癌を防ぐための12か条(Twelve Points Precaution For Cancer Prevention)を推奨している。
(1)バランスのとれた栄養をとる(彩り豊かな食卓にして)
毎日食べている食品の中には癌を誘発する物質と癌を抑制する物質が共存している。
例をあげると、乳房癌、大腸癌、子宮内膜癌等は脂肪の過量摂取が発ガンと関係ある。
反面、ビタミンA,C,E等と食物繊維は、発癌を防ぐ抑制効果があることが知られている。
食べ物はヒトが選択するもので、偏食を禁じ、バランスのとれた食事を通じて、
食物中の発癌物質の作用を相殺するのが食予防法言えよう。
(2)毎日、変化のある食生活を
多くのヒト達は好きな食べ物を繰り返し食べることが多い。
例を挙げると、精米所のニワトリは米ばかり食べて、一見、幸福に見えるが、産卵率はよくない。
また体も弱い。これはいつも米だけを食べるため、免疫が落ちるからである。
人参がヒトに良いからといって、人参だけを連続して食べるのもよくない。
また肉類を多く食べるをよくないからといって禁食すると、栄養素のバランスが崩れるため、
週に1回程度、緑黄色野菜と一緒に食べるようメニューを調整して欲しい。
(3)食べすぎをさけ、脂肪は控え目に(美味しいものも適量に)
長寿の秘訣は毎回の食事を8分目程度に維持することと言われている。
動物実験でラットに好物を制限なしに食べさせた郡と、食事量を60%に制限した郡とを比較した結果、
60%に制限した郡は発癌率が低く、長生きしたのが確認された。特に過食の中でも、脂肪の量が問題となる。
(4)お酒はほどほどに(健康的に楽しもう)
WHO(世界保健機関)の調査により、過度の飲酒は口腔癌、咽頭癌、食道癌と関係があると報告されたことがある。
フランスのノルマンディー地方の住民たちは、アルコール濃度が高いブランデーを多く飲む習慣があり、
昔から食道癌が多かった。またアルコール度数の高いお酒は、
口腔や咽頭、食道等の粘膜細胞に傷を与え、それが癌の原因となると究明された。
(5)たばこは吸わないように(特に、新しく吸いはじめない)
たばこと癌との関係は知られている事実である。がん研究振興財団によると、男性12万人以上に対して、長期に渡って調査した結果、
1日25本以上喫煙した人は、喫煙しない人に比べて、咽頭癌が90倍以上、肺癌は7倍の死亡率を表していた。
また最近は喫煙する人だけではなく、家族や職場同僚等の周辺の人にまで害を与える事が知られている。
たばこから直接出る紫色の煙より、喫煙した人の口からはかれた煙の方が、発癌物質を多く含んでいる。
また喫煙する夫よりも、喫煙しない妻の肺癌死亡率が高いとの報告もある。
(6)食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多くとる(緑黄色野菜をたっぷり)
ビタミンは人の体の潤滑油と同じで、その中でも、ビタミンA、C、Eは癌発生を防ぐ作用があることが知られている。
例を挙げると、ビタミンA(?‐カロテン)はニンニク、ホウレンソウ、小松菜、春菊、ニラ、太刀魚、バター、チーズ等に、ビタミンCは、
イチゴ、カキ、レモン、ホウレンソウ、キウイ等に、ビタミンEは、落花生、豆、ゴマ油、えごま油、太刀魚、イワシ、卵類等に、多く含まれている。
繊維質:植物の繊維質は、大腸の活動と通便を助け、便が腸に溜まる時間を短くするだけでなく、
繊維成分が大腸内にある発癌物質の濃度を希釈し、大腸癌にかからないように助ける役割をする。
昔からある食品は植物性が多いので、繊維食品が多いが、最近は、繊維質の足りないインスタント食品を好んで食べる傾向があるため、
繊維食品が減少する状況と反比例して、大腸癌が急増している。
(7)塩辛いものは少なめに、あまり熱いものは冷ましてから(胃や食道をいたわって)
韓国には塩辛い食品が多いので、代表的な癌として胃癌を挙げることができる。
最近は食生活の改善で減少をみせているものの、今も肺癌や子宮癌に比べて圧倒的に多い。
日々の塩の消費量を10グラム以下に勧奨しているが、守られていないようである。
環境と生活改善で、胃癌による死亡率は減少したが、地域差があるのは塩分摂取量と関係があるためだと知られている。
また熱い茶、スープ等を飲む習慣がある地方では、食道癌が多いという報告もある。
(8)焦げた部分はさける(突然変異を引きおこす)
魚介類や肉類を焼くと、黒く焦げた炭化部分に突然変異を起こす物質が生じるとの報告がある。
料理温度が高く、料理時間が長いほど、突然変異する量が増加する。
特に魚介類や肉類、野菜等を直火で焼くと、加熱で焦げた場合、多く発生する。
また砂糖や炭水化物の炭化物にも、細胞の変異を引き起こす物質が含有されている。
(9)かびの生えたものに注意(食べる前にチェック)
かびには人に良いものも多いが、その反面、有害なものも多い。
有害なかびは固いピーナッツや米に付いており、このかび等に発癌性が認められている。
また東洋人に肝癌が多いことから、B型肝炎等の他に、このかびが肝癌の原因ではないかとみている学者達もいる。
(10)日光に当りすぎない(太陽はいたずら者)
太陽光線には強い紫外線があり、この紫外線は皮膚に有害であることがわかった。
適度な紫外線の照射が続くと炎症ができ、この炎症が継続すると細胞の遺伝子が損傷を起こし皮膚癌を誘発するようになる。
理論的には紫外線に過敏反応を起こすメラニン色素によるものである。
したがって熱帯地方の白人達は皮膚癌や悪性黒色腫が多いと知られている。
(11)適度にスポーツをする(いい汗、流そう)
栄養と運動は健康的な生活の基本条件である。
1日中椅子に座って仕事をするヒトに大腸癌が多いとの研究結果もある。
発癌物質を投与して、光の照射や高温下においた動物は、発癌物質だけを投与した動物より、
癌の発生率が高いという実験結果からすると、疲労とストレスは大敵とも言える。
気分転換や健康のために、適度なスポーツをすることを勧奨している。
(12)体を清潔に(さわやかな気分で)
毎日シャワーや沐浴をし、体を清潔にした場合、皮膚癌や子宮癌、陰茎癌等は、ある程度、予防できる。
200年前に、イギリスであった話だが、煙突清掃をしている人達の間で陰嚢の皮膚癌の発生が問題となった。
その後、煙突のススの中に皮膚癌の原因となる物質が発見されたので、
作業が終われば体を洗うようにした後からは、皮膚癌がなくなった。
これは体を清潔にすれば、皮膚癌の予防になる良い例と言える。
以上のように、日本や韓国の癌専門協会では、癌は生活習慣によって起こる疾患であると、
積極的に警告し、生活習慣を通じた予防法を提示している。
6.癌の危険信号
1)胃:腹部不快感、食欲不振または消化不良が継続する時
2)子宮:異常分泌物または不定出血がある時
3)肝:右上腹部鈍痛、体重減少及び食欲不振の時
4)肺:継続的に空咳や血痰が出る時
5)乳房:無痛の腫塊または乳頭出血が出る時
6)大腸、直腸:血液や血便がでたり、排便習慣に変化がある時
7)舌、皮膚:難治性潰瘍ができたり、ほくろがより濃くなったり、大きくなったり、または出血する時
8)泌尿器:血尿や排尿不良がある時
9)咽頭:声が持続的に変化した時
以上は癌学会で癌の予防と早期発見のための啓蒙活動として広報された内容である。
癌を含めた慢性病は、環境と生活の改善により病気にかからないように予防することが何より良い方法で、
早期発見のため、上記の癌の危険信号に、平素から関心を持つことが必要である。
7.抗癌化学療法剤と免疫増強剤
最近、抗癌治療は外科的手術、放射線治療と共に、多くの化学療法剤の開発により、治療が進んでいる。
しかし、副作用がなく完治する抗癌治療剤(chemotherapy)は、未だに期待するほどの抗癌剤は開発されていない。
抗癌化学治療剤の開発の歴史をみると、アメリカの化学兵器(毒ガス、細菌)研究チームの一人であったエール大学のゲルマン博士が
ナイトロジェンマスタードと言う毒ガスの殺人実験をしている時に、同じ実験室で実験中であった悪性リンパ腫のマウスが誤って少量の毒ガスを吸ってしまったところ
、悪性腫瘍が縮小されたことが確認され、これが抗癌化学治療剤の開発の契機となった。
現在では使用されていないが、医学の専門書には毒ガスであるナイトロジェンマスタードが、抗癌剤のひとつとして記録されている。
他の科学治療剤も癌細胞と正常細胞を同時に攻撃するので、正常細胞をも死滅あるいは損傷を与えるだけではなく、
免疫力も急激に低下させ、細胞を保護したり防御したりする能力を失わせる。
このような副作用を化学治療剤は持っており、使用目的が異なるだけで、毒性の面から見れば同じ事になる。
抗癌化学治療剤の問題点と言える。免疫増強剤は、科学的薬物治療、放射線治療、外科的手術の前後に、
副作用を解消し、活性を高め、正常細胞を保護するための補助剤として、
治療に必須だと言う専門医達が増えるにつれて、免疫増強剤の開発が活発になっている。
ヒトを含めた動植物は、生命を維持するために、免疫力が必要である。
したがって、日常生活の食事の大部分を占める家庭料理には、免疫力を増加する成分を、量的、質的差異はあれども、充分に含んでいる。
子供の頃、好き嫌いせずに食べなさいと言った大人達の言葉は、免疫と言う意味を知らなかったとしても、経験から発した知恵だと思われる。
例を挙げると、韓国の家庭料理の味付けの原料に多く使われている。唐辛子、ニンニク、植物油、ゴマ油、発酵食品のキムチ、タケノコ、魚介類、
各種の野菜等は、慢性病の原因となる活性酸素を消去すると同時に、免疫を増強させる重要な食物と言えよう、
また、著者が開発したキノコのメシマコブには、タンパク複合多糖体が多く含まれていて、癌治療免疫増強剤の医薬品として販売されている。
癌治療に用いる免疫増強剤の製品として、コプラン、メシマ、それ以外に類似製品としてピシニバール等がある。
漢方薬では、人参、鹿茸、当帰、熟地黄等、神農本草経の上品薬(君薬)に収載された120種の生薬が含まれる漢方処方の瓊玉膏
、牛黄清心元、十全大補湯、鹿茸大補湯、双和湯等、多くの研究報告で免疫増強作用及び抗酸化作用がみられる。
このような免疫増強剤は、癌治療の時だけ服用するのではなく、
体が衰弱した時や過労の時、疾病の予防薬として服用するのが良いと思われる。
8.癌療法と漢方製剤
現代の癌治療には外科的手術療法、抗癌化学療法剤、放射線療法、免疫療法、
その他として代替療法等を挙げることができるが、これらは癌の種類と部位によって使い分けられている。
漢方製剤や生薬製剤には
・直接的なin
vitroあるいはin
vivoにおける抗癌作用
・インターフェロンや腫瘍壊死因子(TNF)の誘起作用
・マクロファージ活性等、免疫能の調節作用に対する研究は進んでいるが、
現代医薬の抗癌化学療法剤に比べて、天然薬物の単独投与では限界があるので、現代医療系では抗癌剤として認めない実情がある。
しかし、臨床あるいは患者当事者らに、化学療法剤と併用して良い効果を得ている。
・小柴胡湯の癌の進展予防効果、人参(ginsenosideRh2)は癌化された細胞を機能的、
形態学的に正常細胞の方向に形質変換(再分化)させる可能性があることが報告されている。
・人参、桑黄、当帰等に含有されるポリサッカライド、瓊玉膏、十全大補湯、双和湯等は、
免疫増強剤として抗癌化学療法剤、放射線療法および手術の前後に、副作用の軽減
または相乗効果を期待して、臨床ではよく併用投与されている。
9.抗癌療法の補剤としての漢方製剤応用
・胃癌・乳癌:マイトマイシンC、アドリアマイシンと瓊玉膏、十全大補湯併用療法
・卵巣癌:シクロホスファミド、シスプラチンと瓊玉膏、補中益気湯併用療法
・消化器癌:テガフール、マイトマイシンCと瓊玉膏、小柴胡湯併用療法
・癌術後患者(88例):消化器症状に対する瓊玉膏、十全大補湯の併用効果
以上は臨床でよく利用されている。
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10.(2005)
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12.日本がん研究振興財団:癌 知識(平成10)
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