大山宗伯東洋医学記念館
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臨床心理学 心の健康相談室

統括主幹
岡山大学 医学博士 徳島大学 薬学修士
大山博行先生
ご紹介

President & Chairman
Meister of Medical Science
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).



大山宗伯東洋医学記念館
大山漢方堂薬局 大山鍼灸院
統括主幹 大山博行

President & Chairman
Meister of Medical Science
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).
大山博行

はじめに、

東洋医学専門(漢方薬・鍼灸) 大山漢方堂薬局、大山鍼灸院では、現在、地元、近隣の方々をはじめ、
北海道から九州、沖縄県の人まで、日本全国、遥か遠方からのご相談者も多くいらっしゃいます。
皆様からのご信頼、本当に嬉しく思います。 私達は、この事実を謙虚に受け止め、皆様のご期待にそえるよう、
現状に甘んずることなく、日々進歩する東洋医学、最先端の漢方薬、鍼灸治療をご提供できるよう、技術研鑽、情報収集他、
心して、日々、努めております。 漢方薬局店内は狭く煩雑で、ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんが、
どうぞ、お気軽にお入りください。 また、漢方薬と鍼灸治療の併用をお考えのお客様、プライバシーを特に気になさるお客様、
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大山漢方堂薬局 大山鍼灸院. 統括主幹 医学博士 大山博行

  


漢方を現代病に活かす! 漢方専門 大山漢方堂薬局 附属大山鍼灸院
「最先端の鍼灸治療」 大山宗伯東洋医学記念館鍼灸治療室(不妊症専門鍼灸治療室:完全予約制)

特集④:不老長寿と認知症瓊玉膏

1.不老長寿の漢方薬 認知症に効果的な漢方薬

「瓊」の字は『玉篇』を見ると、「美玉」、「赤玉」と記録されている。
また「瓊」を用いた単語としては「瓊樓(王の宮殿の意)」、「瓊杯(玉で作った杯の意)」がある。
 「瓊」の字は最上の美と大切の意味ををしている。昔から最高の美しい碧玉を表現する際に「瓊玉」の字が使われた。
また「瓊枝玉葉」という言葉があるが、これは皇族の子孫のことである。かつて、皇帝に献上する貴重品を至宝の玉という意味を持たせるために、
「瓊玉」と表現したこともあった。「膏」は「なめらかな味の良いもの」の意味もある。これにより「瓊玉膏」という名称は、薬の中でも最高の称号であることがわかる。
 瓊玉膏は皇帝の長寿のための補助薬として、応急薬の牛黄清心元と共に、皇室の2大名薬に数えられた。
元の皇帝であるクビライ・カーンは、健康と精力のために好んで飲み、皇室の女子らと名門家の貴婦人達も美容のために瓊玉膏を愛用した。
このように顔を玉のように手入れをするために服用したとの意味で瓊玉膏と名づけられてといわれている。
 瓊玉膏は南宋の医師である洪遵が編纂した『洪氏経験方』(1170年)に収載され、その内容をみると「人参」が「新羅人参」という名称で記載されている。
これにより朝鮮の高麗人参が既に世界的薬剤として名声を得ていることが分かる。
 瓊玉膏は東洋の名薬として東アジアの国々が製造したが世界的品質の高麗人参で製造した瓊玉膏が最優秀品質だと評価されている。

1)神秘の霊薬人参

 人参は古来より東洋で愛用されてきた。西洋では東洋でいう「人参」が知られていなかったため、赤く甘い根を人参と呼んだ。
甘い根はセリ科の植物、東洋でいう人参はウコギ科の植物で全く違う種である。人参の中でも高麗人参が最貴重品として昔から珍重されてきた。
 中国の皇帝に献上される最上品は朝鮮産高麗人参であった。また朝鮮時代には高麗人参が最高級の貿易品で、
朝鮮の高麗人参と中国の名物である絹織物と物々交換された。人参は地域、土壌または気候によって品質が異なり、朝鮮産高麗人参を最高品として認めた。
 韓国の錦山が人参の最大栽培地であり、全生産量の70~80%が集散される最大集散地である。またここに錦山人参の伝説が残る。
 1500年前、錦山邑南夷面城功里部落に姜姓の在野の学者(士人)がいた。
姜氏は親孝行であったが、父親は既に亡く、母親と二人で貧相な暮らしをしていた。
ある日、母親が動くことができないほどの重病を患い、苦しんでいた。
色々とよい薬を使っても母の容態は徐々に悪化し、治らないため、悩んでいた姜氏は錦山の名山である進楽山の観音窟で、
母の回復を祈って百日祈とう祷を行った。ある日、夢に仙神霊があらわれ、「進楽山の観音峰の岩壁に行くと赤い実が3つついている草がある。
その草の根を煎じて湯にして飲ませれば、母の病気は治り、君の願いは通ずる」と言われたため、姜氏は不思議に思い、
翌日の早朝、夢でみた岩壁へ行くと、赤い実が3つついている草があったので、その根を掘り、煎じて湯にして母に飲ませると、母の病気は全快した。
その草は参(山参)であった。姜氏はその種子を庭に植え、根が人間の形をしていることから、参を人参を名付けた。
その後、錦山が人参の栽培地を最大集散地になったとの伝説がある。そのため、人参を霊薬とも呼んでいる。
 植物あるいは穀物等の農作物は、田や畑に植えて毎年収穫するが、人参は1回の栽培期間が4~6年を要する。
人参を収穫した後10~15年は、人参をはじめ、どのような農作物も栽培できない。
その畑は空畑となり、堆肥等で土を肥やすと、穀物等の栽培が可能になる。それほど人参は土の栄養分を要求するものなのである。
また人参は何処でも栽培ができるものではない。地域、土壌、気候等によって、人参の品質が異なる。
著者は若い頃、『加賀藩の秘薬』という本を著した薬学者であり、薬史学者でおられた三浦孝次教授から生薬の活性を学ぶための
薬理学を伝授された際、高麗人参に関するお話をお聞きしたことがある。
江戸時代に長野県で人参を栽培していた藩役が、開城高麗人参の種子とその栽培法を得るために、
あ者に変装し、長野県を出発して朝鮮元山を経由し、開城に到着して何とか人参畑での仕事についた。
3年間一生懸命に仕事をしたことにより、種子と栽培法を得て長野県に帰り、長野県でも現地と同じ高麗人参が、
元々栽培していた長野人参と同じような人参になってしまった事があった。
このことは本には書けなかったと私の耳にそっとお聞かせ下さったことが思い出される。
それほど人参は成長条件に敏感な農作物ともいえる。


2)人参の七大効能

(1)補気救脱:
元気をつけ、虚弱した身体を救うと知られているが科学的研究結果によって、
抗疲労、疲労回復作用、老齢動物の学習力改善、運動能力改善、記憶力改善の報告がされている。
(2)益血復脈:
血液をつくり、循環をよくして、滞っている血液の流れを取り戻すという古書の記録から、
赤血球、ヘモグロビン増加作用等を科学的に確認している。
(3)養心安神:
心を養うというのは精神を安定させる意味になる。
人参は抗ストレス、抗痙攣作用が報告されている。
(4)生津止渇:
生津とは内分泌の意味を持ち、渇は糖尿の渇症を示す。
静岡大学の矢内原教授は朝鮮人参から血糖降下作用を示す成分(DPG3-2)が得られ、
その成分にインスリン分泌亢進作用が認められたという報告をしているが、
糖尿病治療方剤には朝鮮人参が頻用されている。
(5)補肺定喘:
肺と気管を補し安定させて喘息を治す。
(6)健脾定喘:
消火器機能を強化し下痢を止める。
これの科学的根拠として、朝鮮人参には消化管ホルモンと類似したアミノ酸配列をもつペプチドの存在が強く示唆されている。
これが他のタンパク質と結合することにより生理活性ペプチドが安定化され、
そのほかペプチド腸管吸収を促進するのではないかと推測されている。
朝鮮人参は脾胃を強くするのである。
(7)托毒合瘍:
毒と結合して解毒し腫瘡を治す。

 世界の生薬学者や植物学者らは、地球上にある植物に対し、様々な研究をしているが、高麗人参ほど多岐に渡って研究された植物は他にない。
また高麗人参より多くの成分と多様な薬効を持った植物は未だに発見されていない。人参は明薬中の明薬である。
 人参は不思議な植物で、一方的な効能を持っているだけでなく、相対する効能を同時に持っている。
人参の成分であるginsenoside Rb,Rc群には中枢神経に対し、抑制的作用(精神安定、鎮痛、抗痙攣、血圧降下作用)があるが、
逆にginsenoside Rg群は中枢神経興奮的作用(抗疲労作用、疲労回復作用、抗ストレス作用)があることが示されている。
またginsenoside Rb1,Rg1においては共に血圧作用があるが、
ginsenoside Rc,Rf,Rg1,Rg2等のtriol系のサポニンにはRb1、Rb,Rc,Rdのdiol系よりも強い
血管拡張作用による血流量の増加が報告されている。
 即ち人参は効能を調節する両面性のある作用を持った植物であることが示された。
後に、生命を持っているすべての植物には自身の代謝均衡のために、
機能的に調節作用があることが知られるようになり、医薬品開発に役立っている。
 人参には肝臓でのタンパク質合成を促進する作用、血圧調節作用、糖代謝の調節作用、造血作用、
抗ストレス作用、記憶力改善作用、免疫増強作用、抗痙攣及び鎮静作用、抗腫瘍作用(抗癌作用)、抗炎症作用等がある。
即ち人体機能を調節する効能を持っている神秘的な霊薬であることが科学的研究によって立証されている。


3.瓊玉膏の適応症
(1)瓊玉膏の漢方文献的効能効果
①東医宝鑑:精髓充満、真気平温、元気補、若回(回春)、精神軽快、五臓六腑充実、毛髪黒化、歯牙蘇生
②方薬合編:鎮静、毛髪黒化、歯牙蘇生、百病除去
③洪氏集験方:乾咳効果
④医学入門:精髓充満、真気平温、虚損症補強疾病治療、精神軽快、五臓六腑充実、毛髪黒化、歯牙蘇生
⑤寿世保元に収録されている瓊玉膏の内容は、次の通りである。
『此膏填精補髓、腸化為筋、万神具足、五臓盈溢、髓実血満、髪白変黒、返老還童、行如奔馬。日進数服、終日不食亦不飢、
開通強志、日誦万言、神識高邁、夜無夢想、人年二十七歳以前、服此一料、可寿百二十歳。六十四歳以上服者、
可寿至百歳。服之十剤、絶其欲、修陰功、成地仙矣。一料分五処、可救五人癰疾、分十処、可救十人宜労疾。修合之時、沐浴至心,勿軽示他人と記載されている。
 瓊玉膏は漢方古書に明記されている通り、精を補い、腸管の働きを助け、すべての栄養素が備わっており、肝、心、脾、肺、腎の五臓を助けて機能を強化し、
骨髄には血液が充満し、老人の白髪は黒くなって若返り、元気な馬のように走り回る。
一日数回服用すれば一日中、何にも食べなくとも飢えず、すべてのことに記憶力がよくなり、1日万語を暗記でき、思考が抜きん出ており、就寝の時は夢を見ることなく熟眠する。
27歳までに一料を服用すれば360歳まで生きられ、45歳までに服用すれば240歳まで生きる
、63歳までに服用すれば120歳まで生き、64歳以降に服用した者は100歳まで生きられる。
 即ち、瓊玉膏を適時に適量服用すれば、いつまでも若さを保持することがでる。
また白髪の老人も元気を取り戻して若返る効能があるということである。

 ⑥瓊玉膏の構成生薬はすべて神農本草経の上品に収載
 中国における薬の始祖は何と言っても伝説的な人物の『神農』であると言える。神農はすべての薬草を直接なめたり、
噛んだりして、その薬効を判定し、分類したと伝えられている。。上品120種、中品120種、下品125種という1年365日と同じ数の計365種を、
薬効別に分類したものが『神農本草経』である。『神農本草経』は一世紀頃に出版されたといわれるが、
それはただ整理されたものが出版されたという意味であり、実際に神農が活躍した年代は未知である。
また神農の称号は、人類の健康と農事のことを大事にした時代に、皇帝に相当する称号として贈られたもので、神農は中国の三皇の一人である。
この『神農本草経』の薬効分類の内容を見ると上品120種は生命を補養する君薬とし、中品120種は身体の病気を治す臣薬、
下品1215種は毒劇物が含まれたもので治療薬であると記録されている。
『神農本草経』の薬効別分類法は、科学万能時代の21世紀の図書分類法にもない分類である。
 ここで注目すべきことは『瓊玉膏』を構成している生薬はすべて、神農が『生命を補養する』と分類した上品(君薬)の生薬で構成されていることである。
 その昔に、中国を統一した秦始皇等を見てわかるように、皇帝の権力を持っていた者の不老不死・不良長寿への欲望は想像できないほどであったと思われる。
すなわち、宮中で愛用され、瓊玉膏と名付けられたことは、瓊玉膏がどれほど重要な補薬であったかが想像される。




認知症(Dementia)
1.高齢者の認知症の増加
 高齢者が増えることは、病気の高齢者が増えることである。
特に認知症高齢者の増加は重大な社会生活の低下をもたらす。
日本では人口の10%が高齢者で、そのうち約5%が認知症で占められる。
即ち、65歳以上の高齢者20人あたりに1人いることとなり、
また徐々に増える傾向を示しているので、社会問題になると言われる。

2.老人性認知症
 老人性認知症とは臨床的対概念であり、症候群である。その原因には様々なものがあり、
その発症機序も様々である。認知症の多くは老年期にみられ、その大きな原因のひとつが脳の血管障害による脳実質の破壊である。
また脳の老化と関係した認知症は、アルツハイマー型老年性認知症である。

1)アルツハイマー病と脳血管性認知症
 認知症は老齢になるにつれた、脳神経への持続的損傷によって、認知力、思考力、理解力、言語力、計算力、判断力等が長期間にわたって徐々に低下する。
後には自分の年齢、位置、時間、親族の区別や記憶などができなくなり、社会生活は勿論、日常生活の維持が不可能になる脳皮質機能疾患である。
 認知症は高齢化になるにつれ、先進国であるほど認知症患者が増加する傾向にあり、社会問題になっている。
 発病率は認知症患者数と比較すると、65~74歳で約10%、75~84歳で19%、85歳以上で50%に達する。
特に認知症に対する治療法がないだけではなく、発病原理が未だに完全には究明されていない。
したがって先進国では多くの予算をかけ、認知症患者の療養福祉施設及び治療施設の設置に力を入れ、
社会問題を解決しようと努力している。
 認知症を発病原因別にみると
 (1)アルツハイマー病(Alzheimer disease)
 (2)脳血管障害
 (3)1)、2)疾患の混合型認知症に分類される。この混合型認知症は認知症全体の70~90%を占めている。
 アルツハイマー病は1906年にミュンヘン大学の精神科医師 Alois Alzheimerが、
51歳の女性患者の健忘症に対する臨床経路と病理所見を報告した後に、アルツハイマー病と命名された。
 脳血管性認知症の命名については以下の流れがある。Alzheimerが発表する以前の19世紀後半に、
Kippelによって、認知症の原因は脳血管性、梅毒性、またその混合性に分類された。
その後1894年にBinswangerが,脳血管性認知症を脳卒中後動脈硬化性及び脳炎性大脳皮質の慢性進行
(encephalitis subcorticalis chronica progressiva)であるとして、Binswanger病に分類した。
またHachinskiらによって、脳血管性認知症の本態は多数の脳梗塞に起因するため、多発梗塞性認知症という概念が提唱され、
脳動脈硬化性認知症の呼称は使用しないようになった。
しかし、その後、梗塞性も脳血管性認知症の原因になるので、最終的には脳血管性認知症と呼ぶようになった。
したがって認知症は、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の2つの代表的概念が確立された。

3.アルツハイマー型認知症の病理と成因
 アルツハイマー病の原因は確かではないが、患者の大脳には?-アミロイドタンパク(γ-amyloid pretein)
からなる老人斑が大量に蓄積し、神経細胞にはタウタンパク(tau protein)からなる神経原繊維変化が出現し、
シナプス(sinaps)の減少と神経細胞死(Apoptosis)が共通して認められている。

4.認知症の診断と治療
1)アルツハイマー(Alzheimer病)型認知症
 アルツハイマー病は老年期の認知症患者の多くを占める進行性の神経変性疾患である。
 疾患の病態は3~4病期にわけられ、病期は病態によって症状の変化により、区分することができる。
 また主に行動観察で診断する
(1)前駆期;初期には認知機能(記憶、判断、思考など)の障害が始まる前から、
神経衰弱症状(頭痛、めまい、不安感、自発性減退、不眠等)をみることができる。
また軽い人格変化(自己中心的傾向)が現れる。この前駆的変化は認知機能障害が起こる2~3年前から現れる。

(2)初期-第1期:記憶(特に近時記憶)障害が現れ、時間的障害(日時、季節などの認識)や自発性の低下などを随伴する。
新しい経験に関する知識情報の記憶が困難になり、このような段階になれば、その日の年月日がわからなくなる。

(3)中期-第2期:近時記憶だけではなく、自分自身または社会においた過去の記憶ができなくなる、
外出すると家に戻ることができなくなる、自分の家にいても他人の家にいると考え(場所に対する意識障害)、
判断力低下、日常生活の簡単な問題解決も困難になる。
時には被害妄想を現し、運動面においては多動、徘徊、行動混乱が多くなり、時には攻撃的な傾向もみられる。
時には失語、失行、失認等の神経心理症状もみられる。

(4)後期‐第3期:記憶障害が最も顕著になり、自己の出生地、両親、兄弟の名前も記憶できない。
また人物認識障害が起こり、ひどい時には鏡を見てうつる自分の顔も誰であるのかわからない時がある(鏡微候)。
食事、排泄、着衣は助けがなければ困難で、特に視覚障害、視線の変換障害、情動の喪失、性的機能の亢進、異食等が出現する。
このような過程は数年かけて徐々に進行するのが特長で、数年を経過すると、大脳皮質症状が起こり、後には挙動ができなくなって死亡するようになる。
認知症の医学的所見では、患者の大脳には?‐アミロイドタンパク(?amyloidprotein)からなる老人班が大量に蓄積し、
神経細胞にはタウタンパク(tauprotein)からなる神経原線維変化が起こり、シナプス(Synapse)減少と神経細胞死(Apoptosis)が起こると、
結局は認知症(Dementia)になると言われている。


2)アルツハイマー病(Alzheimer disease)の治療
 アルツハイマー病の認知障害に対する根本的治療は、残念なことに現在のところ、不可能である。
アルツハイマー病の治療薬としてコリンエステラーゼ阻害薬が市販されているが、
臨床においてはアルツハイマー病患者の感情、意欲障害等、周辺症状に対する治療をする場合が多い。
言い換えると、周辺症状の行動面からの障害、例を挙げると多動、徘徊、攻撃的傾向等の精神症状の妄想や幻覚等の周辺症状に対して治療剤を使用している。
 最近ではBPSD(behavioral and psychological signs and symptoms of dementia)が認知症治療薬として提唱されている。
また対症療法としてハロペリドールを中心とした抗精神病薬やベンゾジアゼパム系抗不安薬を使用して鎮静を図る場合がある。
その他に、ムスカリン性アセチルコリン受容体刺激薬、α作動薬、神経伝達改善薬等の対症治療と、
記憶を回復するための心理療法および物理的療法を試みている程度である。


3)脳血管性認知症
脳血管性認知症の原因となる脳血管障害は病理的に多様である。
(1)虚血性病変による認知症
(2)出血性病変による認知症に大別される
 虚血性病変による認知症は、大脳梗塞や認知機能全般に重大な影響をおよぼす部位の梗塞による認知症、
多発梗塞認知症及びBinswanger型脳血管性認知症と低灌流による認知症に区別されている。
 出血性病変による認知症は、脳内出血発作後の認知症とクモ膜下出血(SAH:subarachnoid hemorrhage)が代表的である。
 ・クモ膜下出血は脳梗塞脳出血等と同じく、脳血管障害(脳卒中)のひとつで、発作率は脳血管障害の5~10%を占め、
発作時に突然、ひどい持続的頭痛が起こるのが特徴である。


4)脳血管性認知症の危険因子
 脳血管性認知症の危険因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症、心疾患等が挙げられる。
 特にBinswanger型脳血管性認知症は、ゆるやかな進行と大脳白質の広範囲な変性が特徴である。
Binswanger型脳血管性認知症は、高血圧と活性酸素が大きく関与しているとの報告がある。

(1)認知症を診断するために行動を具体的に観察
 アルツハイマー病の臨床診断基準として、アメリカのNINCDS-ADRDA
(nacional istitute of Neurological and Communikative Disorders and Strokes
(NINCDS)及びAlzheimer‘s Disease and Related Disorders Association(ADRDA)基準がある。
その他に、1994年にアメリカの精神医学会DSM-IV(精神医学診断基準)があり、1984年にReisbergらが提唱したFASTの基準等がある。
これらは専門医の診断基準であるため、前述した行動が観察された場合は、早期発見のために専門医の診察を受ける必要がある。

(2)脳血管性認知症の診断
 診断の第1歩は、患者の症状が認知症によるのかを判定することである。
認知症とは、発達して完成された認知機能が後天的要因で障害された状態を言う。
 アメリカ精神医学会の脳血管性認知症の診断基準を参考として紹介する。

アメリカ精神医学会の脳血管性認知症の診断基準
A 下の1)2)の項目により多発性の認知機能障害が進行する場合
 1)記憶障害(新しい情報の学習障害と過去に学習した情報の想起障害)
 2)次の認知機能障害が1つ以上の場合
 a.失語(言語の障害)
 b.失行(運動機能は障害されていない場合に、運動行為に障害がある場合)
 c.失認(感覚機能は障害されていない場合に、対象物の区別ができない場合)
 d.統括遂行する能力の障害(立案、組織化、配列、抽象能力)
B 上記基準A1)A2)の各々の原因により、社会活動または職業活動に重要な障害を起こし、
病気の前と比較して活動の程度が顕著に低下することを言う。
C 認知機能障害の病因に関係があると判断される脳血管性障害(例:大脳皮質と皮質下の白質に及ぶ多発梗塞)
を現す局所神経症状や検査データに異常がある場合(例:腱反射亢進、バビンスキー徴候、仮性球麻痺、歩行障害、四肢筋力低下)
D 上記の障害は意識障害期間だけに現れるわけではなく、意識清明である時でも、その症状を確認することができる。

 上記の診断基準中A,B,Dの3項目が認知症の診断基準に該当する。認知症の病態には上記Aに表す認知機能障害を含む。
その中でも記憶障害としては、新しい記憶や学習が困難であることを含めた想起障害、常識的な知識の妄想や、失語、失行、失認と判断力低下の症状が現れる。
 このような症状が現れると専門医に相談しなければならないので、これ以上の専門的な診断方法は省略する。

(3)脳血管性認知症の治療
 脳血管性認知症は血管性病変の回数が多くなるほど、病変の体積が大きいほど、
また発作回数が増加するほど、認知症の度合いが高くなる。
したがって治療の第1歩は脳血管障害の発症の予防と再発の予防である。
脳血管性疾患の原因を早期治療あるいはコントロールし、動脈硬化や血管の老化を予防する必要がある。
 脳血管性認知症の原因疾患の治療や是正の可能な危険因子としての高血圧、糖尿病、一過性脳虚血発作、
脂質異常、多血症、肥満、過量の飲酒、喫煙、心疾患に対し、食生活と生活習慣をあらかじめコントロールしなければならない。
 不幸にも脳血管障害が発生した場合、専門医によって気危険因子をコントロールし、
血栓や塞栓を予防する薬物(血栓には抗血小板薬、塞栓には抗凝血薬)
を投与して再発を予防しなければならない。また脳卒中が起こった場合、できる限り早期に動けるように、
物理治療を通じて身体麻痺の発生を予防することや、意欲向上と認知症防止を目的とする作業療法や言語心理療法も必要となる。
そして認知症を随伴した場合にも、継続的に機能維持訓練をしなければならない。
 患者にうつ症状がある場合には、抗うつ薬と脳循環代謝改善薬を投与することになるが、
これは専門医の治療指示によるのて、これ以上詳細なことは省略する。
しかし認知症は多くの学者達によって研究が行われているものの、認知症に対する特効薬や治療法はまだ開発されていない。

(4)脳神経細胞死滅(Apoptpsis:アポトーシス)
 神経細胞死には、正常なプログラムによる細胞死と、成熟脳における神経細胞死(病的な細胞死)がある。
 ①自然神経細胞死は神経発生のシナプス形成時期に引き起こされる。
即ち、正常なプログラムによって神経回路網を形成する過程中に、シナプス形成ができない神経細胞は栄養シグナルを得られないため、
細胞内の細胞死機構が発動して細胞死に至るのである。この現象は自然神経細胞死と呼ばれ、正常な細胞死である。
・神経回路網形成プログラム⇒シナプス形成できなかった神経細胞の脱落⇒神経細胞死
②成熟脳における神経細胞死は、神経回路網が構築した後に引き起こされる。
成熟した動物脳では既に神経回路ができあがっており、神経細胞はもはや分裂脳を失っているため、
この時期に神経細胞死が起こると神経回路網の崩壊により、脳機能に障害を引き起こす(病的神経細胞死)
・何らかの原因で偶発死⇒アポトーシス⇒ネクローシスによる神経回路網破壊⇒神経疾患
認知症はアルツハイマー病型認知症(Dementia)にしても、脳血管性認知症にしても、
最終的には脳神経細胞死滅(Apoptosis)により認知症になるとみられている。
(ネクローシス:細胞の膨張と細胞膜の破壊)

(5)成熟脳神経細胞死の原因
 アルツハイマー病、中風、パーキンソン病、レビー小体病、ハンチントン病発病患者認知症に
共通的に見られる病理的監査の結果として、脳細胞日正常現象(Tangles)であるプロテインブラーク、
破壊神経細胞、レビー小体、脳特定細胞破壊等がある。

認知症
正常機能脳細胞 →脳細胞死滅(アポトーシス)→認知症(dementia)
    ↑
   疾病後 ・アルツハイマー病・中風・パーキンソン病・レビー小体病・ハンチントン病
 ↑
病理的・脳細胞非正常現象(Tangles)、大脳プロテインプラーク・破壊神経細胞・レビー小体・脳脳特定細胞破壊

5.おわりの言葉
 近年、多くの学者達により、認知症の根本的治療法と天然物からの認知症改善薬の開発に関する研究が
数多く進められているので、近い将来、良い成果が得られると思われる。
しかし、何によりも若い頃から生活習慣を改善して慢性病にかからないように予防することは言うまでもなく、
認知症高齢になり認知症になったとしても、認知症は徐々に進行する特徴があり、前駆期、初期に前述した行動観察で区別が可能であるため、
家族が関心をもって早期に発見すれば、充分に症状の進行を抑えられる。あるいは深刻な症状までは予防することができるのである。
 また高齢になってからの急激な生活環境変化は、認知症を引き起こすきっかけになることがある。
例を挙げると、とある農村の農夫が妻を亡くし、単身で苦労しながら息子を都会の学校に行かせて、
立派な法官にさせた後、父親は高齢になったので農村での生活を止めて、息子の家出生活するようになった。
これは父親にとって、すべての生活環境が急変することになった。
父親にとって変化したもの、息子の嫁や孫との新たな関係が生じたこと、
都会の寝室やトイレ、浴室に馴染みがないこと、話のできる友人が身近にいないこと、外出に慣れないこと、
自身の人生への終息感があること、亡くなった妻のことを考えてしまうこと等、
生活環境の急変によって認知症が引き起こされることがある。
それを予防するには、農村の生活から都会の生活へ移る前に、息子の家を何度も訪ね、
都会の環境に慣れ、嫁や孫との関係を築いた後で、
自信がついた頃に、農村の家を整理して出てくることが必要である。

参考文献
1.平井俊策:老化のしくみと疾患.pp.187、羊土社(1998)
2.Natural Product Sciences 15(3),pp.115-120(2009)
3.J.Korean Oriental Med 23(3) pp.145-163(2002)
4.ジャーナル of Ethnoparmacology 138,pp.723-730(2011)


肥満(Obesity)
1.栄養代謝
飲食を通じて、食物は消化吸収され、糖質、脂質、たんぱく質等の栄養素として肝臓で代謝される。
糖質は解糖系により、脂肪は脂肪酸の酸化により、各々アセチルCoAになり、クエン酸回路を経由してエネルギーとなり、
活動に消費される。この栄養代謝は消費とのバランスを維持するのが正常であるが、
そのバランスが崩れると体は非正常となって病気を起こす。


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特集:潰瘍性大腸炎と漢方薬

①潰瘍性大腸炎とは?
潰瘍性大腸炎 = 大腸に炎症が起こり潰瘍を形成する慢性疾患 = 出血性の下痢、腹部の激しい痛み、発熱を伴う。

潰瘍性大腸炎は、どの年齢にも起こる。(普通は15〜30歳で発症、まれに、50〜70歳で発症する人もいる。
潰瘍性大腸炎は、直腸やS状結腸から始まる = 最終的に、大腸の一部または大腸全体に広がる = まれに発症初期から大腸全体が侵される例もある。

潰瘍性直腸炎は、直腸に限局して起こる炎症で、比較的良性型の潰瘍性大腸炎で、頻度も多い。
潰瘍性大腸炎の原因は、解明されていないが、遺伝と腸の過剰な免疫反応が関係しているのは明らか。
潰瘍性大腸炎は再発する。
突然重症の発作が起こり、激しい下痢、高熱、腹痛、腹膜炎を起こすことがある。(重態)
多いのは徐々に始まる再発 = 便意が切迫して、下腹部が軽くけいれんする。
便には血と粘液が混じる。 再発は、数日から数週間にわたり、いつでも再発する可能性がある。

炎症が直腸とS状結腸に限局している場合は、便は正常か硬く乾燥している状態になるが、排便中または排便と排便の間に、
大量の赤血球と白血球を含む粘液が直腸から分泌される。(全身症状(発熱など)は、ないか、あっても軽度)
炎症が大腸の上の方へ広がると、便は軟らかくなり、1日に10〜20回ほど排便する。
患者は、重症の腹部けいれんに悩まされ、痛みを伴う直腸のけいれんが便意を催す。
夜間も症状は緩和せず、便は水様で、膿や血液、粘液を含む。(便全体が血液と膿になることもある)
発熱や食欲不振が起こり体重が減少する。
潰瘍性大腸炎の合併症

出血 = 最もよくみられる合併症 = 鉄欠乏性貧血を起こす。
潰瘍性大腸炎の人の10%で、最初の発作が急激に進行して重症になり、大量の出血と穿孔や広範囲の感染を伴う。
中毒性大腸炎 = 重症の合併症 = 腸壁全体が肥厚して損傷 = 腸壁の正常な収縮運動が一時的に止まる「イレウス(腸閉塞)」と呼ばれる状態を起こす。
腸の内容物が前進しなくなり、腹部が膨満する。
中毒性大腸炎が悪化すると大腸の筋緊張を失う。
腹部X線検査で、腸の麻痺した部分にガスが充満しているのがわかる。
中毒性巨大結腸 = 大腸が異常に拡張した状態 = 非常に重篤で高熱が出る。
腹痛と圧痛があり、白血球が増加する。
腸が破裂すると、死亡するリスクが高くなる = 腸が破裂する前に迅速な治療を受ければ助かる(死亡率は4%未満)

結腸癌 = 末期の潰瘍性大腸炎患者に毎年100人に1人の割合で発症
 = 潰瘍性大腸炎が広範囲にわたる場合は、100人に10人が結腸癌になる。
結腸癌のリスクが最も高いのは、潰瘍性大腸炎が大腸全体に及んでいる場合と、罹患期間が8年以上の場合。
潰瘍性大腸炎が8年以上続く場合、大腸内視鏡検査を毎年または2年に一度行う。
大腸内視鏡検査の際に、大腸各所から組織を採取し、病理組織診を行い、初期に癌が発見されれば、ほとんどの人が助かる。
⑤クローン病の合併症と同じ = 潰瘍性大腸炎による胃腸症状が再発すると、関節炎や上強膜炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)などの炎症が現れる。
潰瘍性大腸炎による胃腸症状の再発がない時期でも、脊椎に炎症が生じて強直性脊椎炎となったり、股関節の炎症(仙腸骨炎)や眼の内部の炎症(ぶどう膜炎)が起こる。
潰瘍性大腸炎では、軽度の肝機能不全がみられる。 = 肝臓疾患の症状が現れるのは軽症から重症を含めても1〜3%ほど。
重症の肝臓疾患は、慢性活動性肝炎や、胆管が狭くなり、ついには閉塞する原発性硬化性胆管炎、肝臓の機能組織が瘢痕(はんこん)化する肝硬変など。
胆管炎は、潰瘍性大腸炎の腸症状が現れる何年も前から起こる。胆管炎になると胆管癌、結腸癌になるリスクが高くなる。

潰瘍性大腸炎の診断 = 症状と便の検査により診断を確定する。
血液検査 = 貧血や白血球数の増加、アルブミン(血液中のタンパク質)濃度の減少、赤血球沈降速度(ESR)の上昇 = 炎症が活発である。
S状結腸鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いたS状結腸の検査) = 炎症の重症度を直接観察、診断を確定。
潰瘍性大腸炎の患者さんでは、症状がない時期でも、腸全体が正常にみえることはほとんどなく、病理組織診でも慢性炎症が認められる。

腹部X線検査 = 炎症の程度と広がりがわかる。
バリウム注腸後のX線検査、大腸内視鏡検査 = 潰瘍性大腸炎の活動期に行うと穿孔を起こすリスクがあるので、通常は治療を開始する前には行わない。
しかし大腸全体への炎症の広がりを診断するために、安全な時期をみて、大腸内視鏡検査を行う。


潰瘍性大腸炎の経過と治療
一般に潰瘍性大腸炎は慢性疾患で、良くなったり悪くなったり(再燃と寛解)を繰り返します。
全体の約10%が、急激に進行する初期症状から重篤な合併症を来します。
他の10%は一度の発作だけで完全に回復します。
しかし、発作が一度だけですむ人は、実際には潰瘍性大腸炎による潰瘍化ではなく、見つかっていなかった感染症によることもあります。
経過の見通し(予後)は、炎症と潰瘍が直腸だけに限局している潰瘍性直腸炎が最も良く、重篤な合併症はほとんどみられません。
しかし、約10〜30%では潰瘍性直腸炎が大腸全体に広がり、潰瘍性大腸炎となります。

治療は、炎症を抑え、症状を軽減し、体液と栄養素を補うことを目的として行います。

食事制限: 便中に血液が失われることによる貧血は、鉄剤の補給で改善されます。
炎症を起こしている大腸の内膜が傷つかないように、生野菜と果物は避けます。
乳製品を含まない食事により、症状が軽減することがあるので、試してみる価値はありますが、効果がなければ続ける必要はありません。

下痢止め薬: 抗コリン作用薬、または少量のロペラミドやジフェノキシレートは、比較的症状の軽い下痢に用いられます。
もっと激しい下痢には、高用量のジフェノキシレート、脱臭アヘンチンキ、ロペラミド、コデインなどが必要になるでしょう。
重症のケースでは、これらの薬による中毒性巨大結腸を引き起こさないように投与後の状態を慎重に観察します。

抗炎症薬: 潰瘍性大腸炎の炎症を軽減させ、再燃を予防するためにスルファサラジン、メサラミン、オルサラジン、最近開発されたバルサラジドを用います。
これらの薬は普通は経口投与されますが、メサラミンは浣腸や座薬としても使用できます。
経口投与でも直腸投与でも、これらの薬は、軽度から中等度の病気を維持したり寛解するには、限定的な効果しかありません。

ベッドで安静にしなければならないほど重い炎症でなければ、プレドニゾロンなどのステロイド薬を経口投与します。
高用量のプレドニゾロンを頻繁に服用すると、劇的な寛解が得られます。
プレドニゾロンで潰瘍性大腸炎の炎症をコントロールした後に、改善を維持するためにスルファサラジン、オルサラジンやメサラミンを投与します。
プレドニゾロンは徐々に用量を減らし、最終的には投与を中止します。ステロイド療法が長びくと、必ず副作用が現れます。
ステロイド薬の新薬、ブデソニドはプレドニゾロンより副作用が少ないですが、効果もプレドニゾロンほどではありません。
軽度から中等度の潰瘍性大腸炎が左側の下行結腸と直腸に限局している場合には、ステロイド薬やメサラミンの座薬を投与します。

症状が重症の場合には、入院が必要となり、ステロイド薬と水分を静脈内投与します。
直腸に大量の出血がみられる場合は輸血が必要となります。

免疫抑制薬: アザチオプリンやメルカプトプリンなどの薬は、長期のステロイド療法でなければ寛解を維持できない潰瘍性大腸炎患者に使われます。
この免疫抑制薬は免疫系で重要な働きをするT細胞の作用を阻害します。
しかしこれらの薬の作用はゆっくりで、2〜4カ月間しないと効果がみられません。
また、重篤な副作用を起こす可能性があるので、医師による慎重な経過観察が必要です。
シクロスポリンは、重篤な再発を起こしステロイド療法でも効果が現れない場合に投与されます。
多くの患者が当初はシクロスポリンに反応しますが、最終的には手術が必要になるケースもあります。

手術: 他の治療では寛解が得られない慢性の炎症で患者が衰弱している場合や、
高用量のステロイド療法に慢性的に依存している場合、手術が必要になります。
まれですが、壊疽性膿皮症や腕・脚の深部静脈血栓症が重症の場合など、
大腸炎に関連する腸以外の異常が起きた場合にも手術が必要となります。

大腸において癌の診断がついたり、癌性の変化である形成異常が確認された場合は、緊急ではなく待機手術を行います。
大腸が狭窄した場合や小児に成長の遅れがみられるときにも手術を行います。
大腸全体と直腸の切除により、潰瘍性大腸炎は完全に治癒します。
この治療法には、小腸の最後部と腹壁の開口部との間を手術でつなぐ回腸造瘻術を行い、
腸瘻バッグを生涯にわたって使用するという代償が伴いました。
しかし、他にもさまざまな方法が開発されており、その最も一般的な例が回腸‐肛門吻合術です。
この治療法は、大腸と直腸の大部分を切除し、小腸に小さな貯蔵部を形成して、それを肛門のすぐ上の直腸残存部につなぐ手術法です。
この治療法では、便を排泄するまで体内にとどめておくことができますが、貯蔵部の炎症などの合併症が起こるおそれがあります。

潰瘍性直腸炎では、手術が必要になるのはまれで、余命にも影響はありません。
しかし、一部には、どの治療法によっても症状が改善されない例もあります。

中毒性大腸炎は手術を必要とする緊急事態です。
中毒性大腸炎が見つかったり中毒性巨大結腸の疑いがあれば、即座に下痢止め薬は中止して絶食し、
胃か小腸に経鼻チューブを挿入して定期的に吸引します。
水分と栄養、薬剤は点滴で投与します。患者に腹膜炎や穿孔の徴候がないかどうか、注意深く観察します。
これらの処置で24〜48時間以内に症状の改善がみられない場合は、緊急手術が必要となります。
その場合大腸全体か大腸の大部分を切除します。


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(不妊症専門鍼灸治療室:完全予約制) TEL: 0283-22-1607

 大山宗伯東洋医学記念館鍼灸治療室

Sun R&D Institute for Natural Medicines Co.,Inc.
President & Chairman
Meister of Medical Science
Dr. YASUHIRO KOMATSU (Ph.D)

 2016 小松靖弘先生 近影 

大山漢方堂薬局 大山鍼灸院 大山宗伯東洋医学記念館 顧問
サン自然薬研究所長 順天堂大学医学博士 小松靖弘先生 ご紹介 

大山宗伯東洋医学記念館
(東洋医学、漢方薬、鍼灸、臨床心理学)
大山漢方堂薬局、大山鍼灸院
健康相談

  





東洋医学(漢方薬・鍼灸)専門 大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)では、

現在、西洋医学単独では手が届かず、充分な成果が期待できなかった疾患領域に対して、
東洋医学(漢方薬・鍼灸)・自然療法・補完代替療法の力を活用して効果を上げていく、
統合医薬学、統合療法が、大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)の特色になっています。

大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)の実践する統合療法の目的は、
東西の英知(過去から現代までの医学薬学医療情報=漢方薬・鍼灸の古典、成書、漢方湯剤の使用経験、現代の臨床経験、補完代替療法の臨床経験)
を集めて、最も有効と考えられる東洋医学(漢方薬・鍼灸)、自然療法、補完代替療法を提供することです。

大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)では、
神経疼痛(慢性疼痛・痛覚過敏状態・線維筋痛症・神経障害性疼痛)や脳血管障害後遺症、重症筋無力症などの神経疾患、
関節リウマチやシェーグレン症候群などの膠原病、気管支喘息などの慢性呼吸器疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病、アトピー性皮膚炎など自己免疫疾患
の患者さんの症状が安定しない方々、更年期障害や不妊症のような女性特有の病気などの患者さんに対して
西洋医学的治療だけでは充分な回復が得られない方々からのご相談をお受け致しております。
また、高齢者の認知症や歩行困難、肺炎、冷え、しびれ、排尿障害など年齢と共に増えてくる病気の患者さんのご相談もお受け致します。

繰り返しますが、大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)では、
現在、西洋医学単独では手が届かず、充分な成果が期待できなかった疾患領域に対して、
東洋医学(漢方薬・鍼灸)、自然療法、補完代替療法の力を活用する統合医薬学、統合療法の確立を目指しています。
基本的に、どの様な疾患のご相談もお受け致しますが、非常に有効性が高い疾患とあまり効果が期待できない疾患があることも事実です。
そこで、大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)へのご相談が多い疾患、調合漢方薬、鍼灸、経絡ツボ療法で、効果を上げている疾患をいくつかご紹介します。

①認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)、パーキンソン病、てんかん)
特に、認知症、てんかんの患者さんに伴う精神症状の改善、QOL(生活の質)の向上に効果を上げています。
高齢者の認知症では、物忘れの他に精神的に不安定になる、物を取られたなどの妄想が生じる、
あるはずのない物が見えて怯える、など様々な異常な精神症状が発症して患者さんの家族の負担が大きくなります。
この様な患者さんに、大山漢方堂薬局の調合漢方薬(著書:脳を守る漢方薬で、ご紹介)が極めて有効であります。

②脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)後遺症
特に、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)後遺症や神経難病に伴う嚥下障害に効果を上げています。
脳血管障害やパーキンソン病などの神経疾患では物が美味く食べられない「嚥下障害」が生じやすく、それによって肺炎を起こしたり胃瘻を作ることがあります。
この様な患者さんに、大山漢方堂薬局の調合漢方薬、「半夏厚朴湯合伏令飲加減方、他応用処方」や鍼灸経絡ツボ療法(太谿、足三里、他応用穴)への施術が有効であります。

③慢性呼吸器疾患(Chronic Respiratory Disease, CRD)
=慢性閉塞性肺疾患(COPD)肺気腫、喘息、過敏性肺炎、肺ガン、肺小細胞癌、肺線維症、慢性胸膜疾患、塵肺、肺好酸球増多症、肺塞栓症、サルコイドーシス、睡眠無呼吸症候群
肺性心、気管支拡張症などの急性増悪の予防、慢性呼吸器疾患では、風邪などの急性気道感染をきっかけに病状が増悪し、その繰り返しで次第に身体が弱っていきますが、
この様な患者さんに、大山漢方堂薬局の調合漢方薬、「医王湯加減方、他応用処方」が有効であります。
こうした患者さんの風邪を引く回数、急性増悪の回数を減らしています。

⑤各種がん患者さんのサポート
手術療法、抗がん剤治療、放射線治療などの副作用軽減、各種免疫療法(体力、生命力、抵抗力増強、再発転移予防)、緩和ケア、生活の質QOL改善、
延命=養生(ようせい=命を養い伸ばす=最後まで通常の生活を続けながら「がんと共存」寿命を延ばし全うする)、
補完代替医療 (CAM=Complementary and Altemative Medicine)の解説

2015. 4~
(平成27年4月)
大山漢方堂薬局(同鍼灸治療室)統括主幹

岡山大学医学博士(分子細胞医学研究施設神経情報学部門、脳代謝研究施設機能生化学部門)
徳島大学薬学修士(医療生命薬学 製薬化学科 生物薬品化学分野)
大山博行
Dr. HIROYUKI OHYAMA,Ph.D.



特集:潰瘍性大腸炎と漢方薬

②潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が起こり、潰瘍を形成する慢性疾患 = 出血性の下痢や腹部の激しい痛み、発熱を伴う発作が生じる = 長期にわたると結腸癌のリスクも高い。
この疾患の正確な原因は不明。
発作時の症状=腹部のけいれん痛、便意の切迫、下痢(血性)など。
潰瘍性大腸炎が広範に生じている症例では、約30%で手術が必要。
大量出血、穿孔、中毒性巨大結腸、血栓を伴う命に関わる急性の発作が生じた場合は緊急手術になる。
潰瘍性大腸炎で緊急を要しない手術の理由=寛解しない慢性疾患で生活に支障を来す場合、常に高用量のコルチコステロイド薬が必要となる場合。

大腸の癌が確認、異形成が確認、大腸の狭窄が確認、小児で発育遅滞がみられる場合=緊急でない手術を行う。
大腸と直腸をすべて切除することで、潰瘍性大腸炎は恒久的に治癒します。
これまで、この治癒には従来、小腸の最後部と腹壁の開口部との間を手術でつなぐ回腸瘻造設術を行い、腸瘻バッグを生涯にわたって使用するという代償が伴いました。
しかし、現在では他にもさまざまな代替手段が開発されており、その最も一般的な例が回腸肛門吻合術です。
この治療法は、大腸と大部分の直腸を切除し、小腸の外に小さな貯蔵部を形成して、それを肛門のすぐ上の直腸残存部につなぐ手術法です。
この治療法では、排泄を調節する機能は維持できますが、貯蔵部の炎症(嚢炎)などの合併症が起こる可能性があります。
潰瘍性直腸炎では手術が必要となることはまれで、余命も正常です。しかし、一部には、どの治療法によっても例外的に症状が改善されない患者もいます。
中毒性巨大結腸は手術を必要とする緊急事態です。
中毒性巨大結腸が見つかったり、その疑いがあれば、即座に下痢止め薬は中止して絶食し、胃か小腸に経鼻チューブを挿入して定期的に吸引を行います。
水分と栄養、薬はすべて静脈から投与します。患者に腹膜炎や穿孔の徴候がないかどうか、注意深く観察します。
時間と患者の状態が許すなら、シクロスポリンやインフリキシマブによる薬物療法を行うことがあります。
しかし、これらの処置の効果が不十分であったり、効果がみられない場合は、緊急手術が必要となります。
その場合大腸の全体または大部分を切除します。

診断は、S状結腸鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いたS状結腸の検査)か大腸内視鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いた大腸の検査)に基づいて行います。
長期にわたって潰瘍性大腸炎がある人では結腸癌が生じることがあります。
治療は、炎症をコントロールして、症状を軽減し、失われた水分と栄養素を補うことを目的として行います。
どの年齢にも起こりますが、普通は15~30歳で発症します。少数ですが、50~70歳で初めて発作が生じる人もいます。
潰瘍性大腸炎では、通常は大腸壁全層を侵すことはなく、小腸に及ぶこともほとんどありません。
この病気は、多くの場合、直腸または直腸とS状結腸(大腸の下端)から始まりますが、最終的には大腸の一部または大腸全体に広がります。

潰瘍性直腸炎は直腸に限局して起こり、比較的良性型の潰瘍性大腸炎で、頻度も多い疾患です。一部の患者では、発症初期から大腸の大部分が侵されます。
潰瘍性大腸炎の原因ははっきりとわかっていません。
しかし遺伝と腸の過剰な免疫反応が関係していると考えられています。
喫煙は、クローン病には有害ですが、潰瘍性大腸炎のリスクは減らしていると思われます。
ただし喫煙はさまざまな健康上の問題を起こす原因となるので、潰瘍性大腸炎のリスクを下げるために喫煙することは軽率です。

潰瘍性大腸炎の症状は再発します。
再発は突然重症となることがあり、しばしば血性となる激しい下痢、高熱、腹痛、腹膜炎(腹腔の内膜の炎症)を起こすことがあります。
このような発作の間は、患者の体調が非常に悪化します。
より多いのは徐々に始まる再発で、便意が切迫するようになり、下腹部が軽くけいれん痛を起こして、便には血と粘液が混じります。
再発は数日から数週間にわたって続き、またいつでも再発する可能性があります。
炎症が直腸とS状結腸に限局している場合は、便は正常か硬く乾燥している状態になります。
しかし、排便中または排便と排便の間に、大量の赤血球と白血球を含む粘液が直腸から分泌されます。
発熱などの全身症状はみられないか、あっても軽度です。
炎症が大腸の上の方へ広がると、便は軟らかくなり、1日に10~20回も排便が生じることがあります。
しばしば、腹部の重度のけいれん痛と、便意に伴う不快で痛みのあるけいれんが生じます。
夜間も症状は緩和しません。便は水っぽく、膿や血液、粘液を含みます。しばしば便の内容がほぼ血液と膿だけになることがあります。
患者には発熱や食欲不振も起こり、体重が減少します。

出血は最もよくみられる合併症で、しばしば鉄欠乏性貧血を起こします。
潰瘍性大腸炎になった人のほぼ10%で、最初の発作が急激に進行して重症になり、大量の出血と穿孔や広範囲の感染が生じます。
中毒性大腸炎は特に重症の合併症で、腸壁の全層に損傷を起こします。
この損傷は、腸壁の正常な収縮運動が一時的に止まるイレウス(腸閉塞)と呼ばれる状態を起こし、腸の内容物が前進しなくなり、腹部膨満が起こります。
中毒性大腸炎が悪化するにつれ、大腸の筋緊張が失われ、数日、ときにはわずか数時間で大腸が拡張しはじめます。
腹部のX線検査では、腸の麻痺した部分にガスが充満しているのが映ります。
中毒性巨大結腸は、大腸が異常に拡張したときに起こります。患者は非常に重篤であり、高熱が出ます。
腹痛と腹部の圧痛も生じ、白血球数が増加します。腸が破裂すると、死亡するリスクが非常に高くなります。
しかし、腸が破裂する前に迅速な治療を受けた場合、死亡率は2%未満です。
結腸癌は、末期の潰瘍性大腸炎患者のうち、毎年100~200人に1人の割合で発症します。
結腸癌のリスクが最も高いのは、病気の症状が活動性でなくても、潰瘍性大腸炎が大腸全体に及んでいる場合と、罹患期間が8年を超えている場合です。
潰瘍性大腸炎が8年以上続く場合、大腸内視鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いた大腸の検査)を毎年または2年に一度は行うよう勧められます。
大腸内視鏡検査の際に、癌の早期の徴候(異形成)がないか調べるために、大腸各所から組織を採取し(生検)、顕微鏡で検査します。
異形成が診断された場合、あるいは早期の段階で癌が発見された場合でも、結腸をすぐに切除することでほとんどの人が助かります
その他の合併症は、クローン病のものと同じです。
潰瘍性大腸炎による胃腸症状が再燃すると、関節の炎症(関節炎)、白目の部分の炎症(上強膜炎)、皮膚の結節の炎症(結節性紅斑)、
紫色の皮膚のびらんに膿がたまる(壊疽性膿皮症)などの炎症が現れます。
潰瘍性大腸炎による胃腸症状の再発がない時期でも、腸の病気とはまったく無関係に、壊疽性膿皮症が生じたり、
脊椎に炎症が生じて強直性脊椎炎となったり、骨盤の炎症(仙腸骨炎)や眼の内部の炎症(ぶどう膜炎)が起こることがあります。
まれに静脈内に血栓ができることがあります。
潰瘍性大腸炎では、普通軽度の肝機能障害がみられますが、肝臓疾患の症状が現れるのは軽症から重症を含めても1~3%ほどです。
重症の肝臓疾患としては、肝臓の炎症(慢性活動性肝炎)や、胆管が狭くなりついには閉塞する胆管の炎症(原発性硬化性胆管炎)、
肝臓の機能組織が瘢痕化する(肝硬変)などが生じます。
潰瘍性大腸炎の腸症状が現れる何年も前に胆管の炎症が起こることがあります。
この炎症は胆管癌のリスクを大幅に高め、また結腸癌のリスクの急上昇とも関係があると考えられています

患者の症状と便の検査から潰瘍性大腸炎が疑われます。
S状結腸鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いたS状結腸の検査)を行うと、炎症の重症度を直接観察することができ、診断が確定できます。
症状がない時期でも、腸が完全に正常にみえることはほとんどなく、組織サンプルの顕微鏡による検査でも通常は慢性炎症が認められます。
血液検査で診断を確定させることはできませんが、貧血や、白血球数の増加、アルブミン(血液中のタンパク質)濃度の減少、
赤血球沈降速度(ESR)の上昇がみられれば、炎症が活発になっていることを示します。
腹部X線検査では、重症度と病気の広がりがわかります。
バリウム注腸後のX線検査や大腸内視鏡検査は、この病気の活動期には通常行いません。
しかし大腸全体への炎症の広がりを診断するために、どこかの時点で大腸内視鏡検査を行います。

予後(経過の見通し)と治療
一般に潰瘍性大腸炎は慢性疾患で、良くなったり悪くなったり(再燃と寛解)を繰り返します。
全体の約10%で、初期の発作が急激に進行し、重篤な合併症を来します。
別の10%では一度の発作だけで完全に回復します。
しかし、発作が一度だけですむ人は、真の潰瘍性大腸炎ではなく、見つかっていなかった急性感染症であった可能性があります。
結腸の生検がこの点の区別に有用です。

潰瘍性直腸炎の場合は予後が最もよくなります。重篤な合併症はほとんどみられません。
しかし、約10~30%では最終的に潰瘍性直腸炎が大腸全体に広がり、潰瘍性大腸炎となります。
治療は、炎症を抑え、症状を軽減し、失われた水分と栄養素を補うことを目的として行います。

食事の制限
便中に持続的に血液が失われることで起こる貧血は、鉄剤のサプリメントで改善できます。
炎症を起こしている大腸の粘膜が傷つかないように、生の野菜と果物は避けます。
食事から乳製品を除くことで、症状が軽減する場合があるので、
試してみる価値はありますが、恩恵がなければ続ける必要はありません。

下痢止めの薬

比較的症状の軽い下痢には、抗コリン作用薬(多くの抗ヒスタミン薬やある種の抗うつ薬など)、
または少量のロペラミドやジフェノキシレート(diphenoxylate)を用います。
より激しい下痢には、高用量のジフェノキシレート(diphenoxylate)、脱臭アヘンチンキ、ロペラミド、コデインなどが必要になることがあります。
しかし重症のケースでは、これらの薬の服用により中毒性巨大結腸が生じないよう、投与後の状態を慎重に観察する必要があります

抗炎症薬
潰瘍性大腸炎の炎症を軽減させ、症状の再燃を予防するために、スルファサラジン、オルサラジン(olsalazine)、
メサラジン、バルサラジド(balsalazide)などの薬剤を用います。
これらの薬は普通は内服しますが(経口投与)、メサラジンは浣腸や坐薬としても使用できます(直腸投与)。
経口投与でも直腸投与でも、これらの薬は、軽度から中等度の活動性疾患の治療には、限定的な効果しかありませんが、
寛解状態の維持にはより有効で、おそらくは大腸癌の長期的リスクも減らすことができます。
ベッドで安静にしていなくてもよい中等度の患者では、通常はプレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬を経口投与します。
高用量のプレドニゾロンを服用すると、しばしば劇的な寛解が得られます。
プレドニゾロンで潰瘍性大腸炎の炎症をコントロールした後に、改善を維持するために
スルファサラジン、オルサラジン(olsalazine)やメサラジンを投与します。
プレドニゾロンは徐々に用量を減らしていき、最終的には投与を中止します。
コルチコステロイド薬による治療が長びくと、ほぼ必ず副作用が現れます。
軽度から中等度の潰瘍性大腸炎が大腸の左側(下行結腸)と直腸に限局している場合には、
コルチコステロイド薬やメサラジンの浣腸または坐薬の投与が役立ちます。

免疫抑制剤
アザチオプリンやメルカプトプリンなどの薬は、長期のステロイド療法が必要な潰瘍性大腸炎患者で寛解を維持するために使われます。
この免疫抑制薬は免疫システムで重要な働きをするT細胞の作用を阻害します。
しかしこれらの薬は作用が遅く、1~4カ月間しないと効果がみられません。
また、重篤な副作用を起こす可能性があるので、医師による慎重な経過観察が必要です。
シクロスポリンは、重篤な再発を起こしコルチコステロイド療法にも反応しない場合に投与されます。
多くの患者が当初はシクロスポリンに反応しますが、一部の人は最終的に手術が必要になります。

モノクローナル抗体から作られ、静脈内投与するインフリキシマブが潰瘍性大腸炎患者に有益な場合もあります。
この薬はコルチコステロイド薬に反応しない患者や、他の免疫抑制薬を適切に使っても、
コルチコステロイド薬の用量を減らすと必ず症状が出る患者に投与します。

手術

潰瘍性大腸炎が広範に生じている症例では、約30%で手術が必要となります。
大量出血、穿孔、中毒性巨大結腸、血栓を伴う命に関わる急性の発作が生じた場合は緊急手術が必要です。
緊急を要しない手術の理由としては、寛解しない慢性疾患で生活に支障を来す場合や、
常に高用量のコルチコステロイド薬が必要となる場合などがあります。

大腸の癌が診断されたり、異形成が確認された場合、ときに大腸に狭窄が生じていたり、
小児で発育遅滞がみられる場合も、緊急ではない手術を行います。
大腸と直腸をすべて切除することで、潰瘍性大腸炎は恒久的に治癒します。
これまで、この治癒には従来、小腸の最後部と腹壁の開口部との間を手術でつなぐ回腸瘻造設術を行い、
腸瘻バッグを生涯にわたって使用するという代償が伴いました。
しかし、現在では他にもさまざまな代替手段が開発されており、その最も一般的な例が回腸肛門吻合術です。
この治療法は、大腸と大部分の直腸を切除し、小腸の外に小さな貯蔵部を形成して、
それを肛門のすぐ上の直腸残存部につなぐ手術法です。
この治療法では、排泄を調節する機能は維持できますが、
貯蔵部の炎症(嚢炎)などの合併症が起こる可能性があります。
潰瘍性直腸炎では手術が必要となることはまれで、余命も正常です。
しかし、一部には、どの治療法によっても例外的に症状が改善されない患者もいます。
中毒性巨大結腸は手術を必要とする緊急事態です。
中毒性巨大結腸が見つかったり、その疑いがあれば、即座に下痢止め薬は中止して絶食し、
胃か小腸に経鼻チューブを挿入して定期的に吸引を行います。水分と栄養、薬はすべて静脈から投与します。
患者に腹膜炎や穿孔の徴候がないかどうか、注意深く観察します。
時間と患者の状態が許すなら、シクロスポリンやインフリキシマブによる薬物療法を行うことがあります。
しかし、これらの処置の効果が不十分であったり、効果がみられない場合は、緊急手術が必要となります。
その場合大腸の全体または大部分を切除します。


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認知症・アルツハイマーは、もう怖くない 「脳を守る漢方薬」 岡山大学 医学博士 大山博行 著


cf.

大山博行(おおやまひろゆき)
Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D).

研究業績

岡山大学医学博士(分子細胞医学) 徳島大学薬学修士(生物薬品化学)


    

 

Dr. HIROYUKI OHYAMA (Ph.D)
Depertment of Neurochemistry, Institute for Neurobiology,
Okayama University Medical School
( Director : Professor Akitane Mori )
March 28, 1995


          


Free Radicals in Brain Physiology and Disorders
An International Conference
Held in Celebration of the Retirement of Professor Akitane Mori

    

August 4 and 5, 1995
International Convention Center PAMIR,
Tokyo, Japan


    








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